中小企業診断士の過去問
令和4年度(2022年)
財務・会計 問18
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 財務・会計 令和4年度(2022年) 問18 (訂正依頼・報告はこちら)
企業価値評価における割引超過利益モデルに関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- クリーン・サープラス関係が成り立つ場合、配当性向が高いほど株式価値は高くなる。
- クリーン・サープラス関係が成り立つ場合、配当割引モデルから割引超過利益モデルを導出することができる。
- 将来の配当がゼロの場合でも株式価値を求めることができる。
- 毎期の予想利益が、自己資本に自己資本コストを乗じた額を上回るならば、株式価値は当期自己資本簿価を上回る。
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この過去問の解説 (3件)
01
割引超過利益モデルに関する問題です。これは株価の理論価値を算出する考え方の一つで、期首時点の株主資本と将来の超過収益力の現在価値の合計を株式価値とします。
クリーン・サープラス関係とは、損益計算書における当期純損益の額が貸借対照表上の純資産の変動額と一致する場合のことを言います。
配当性向が高いほど内部留保が減り、純資産が減りますから株式価値は低くなります。
したがって本問の正解です。
配当割引モデルは、将来株主に支払われる配当の額の現在価値を理論株価とする考え方です。
割引超過利益モデルは将来の利益のうち配当として支払われる部分以外の内部留保に回る金額の現在価値を言いますので、配当割引モデルから割引超過利益モデルを導くことができます。
したがって誤りです。
割引超過利益モデルでは将来の超過収益力の現在価値を元に算出しますので、配当がゼロでも株式価値を求めることができます。
したがって誤りです。
自己資本に自己資本コストを乗じた額(配当に近い)を上回る予想利益があるということは超過収益力が期待できることになりますので、その現在価値を自己資本簿価に加算して株式価値を算出する以上、自己資本簿価を上回ることになります。
したがって誤りです。
割引超過利益モデルに関する問題でした。用語の意味と計算式を覚えておきましょう。
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02
割引超過利益モデルに関する問題です。
正しい
クリーン・サープラス関係とは、損益計算書における当期純損益と貸借対照表における純資産の増減が一致している状態です。
このとき、増資や減資などの純資産を直接増減する取引を除きます。
クリーン・サープラス関係が成り立つときは、純資産の変動に期中の損益取引がすべて反映されていると考えます。
「クリーン・サープラス関係」という用語を知らなくても、配当性向=配当金/利益×100%であることを思い出せれば、式の中に株式価値は無いため、「配当性向が高いほど株式価値は高くなる」という記述が誤りと気づけます。
誤り
配当割引モデルとは、現在の理論株価を配当金÷期待収益率で求めるモデルです。「投資家がいくら配当をもらえるか」という発想ベースの式です。
割引超過モデル(残余利益モデル)とは、「いくら会社に利益が残るか」という逆の発想がベースの式です。クリーン・サープラス関係が成り立つときは配当割引モデルと割引超過モデルが対になっています。
誤り
割引超過モデルでは株主が期待する利益を超過した利益から導出するため、配当がゼロでも株式価値を求めることができます。
誤り
割引超過モデルでは、予想利益>自己資本×自己資本コストならば、株式価値は自己資本簿価を上回ると考えられます。
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03
企業価値評価における割引超過利益モデルに関する問題です。
不適切です。
クリーン・サープラス関係とは、当期純利益の分だけ、その年の純資産額が増加することです。
この時に配当性向が高くなれば、利益のうち配当に回す分が多くなり、剰余金として純資産へ回す分が減りますので、株式価値は高くなりません。
適切です。
配当割引モデルは利益のうち配当をいくらもらえるかを計算したもので、割引超過利益モデルは利益のうちいくら純資産として残るかを計算したものです。よってクリーン・サープラス関係が成り立つ場合、配当割引モデルから割引超過利益モデルを導出することができます。
適切です。
将来の配当がゼロの場合でも割引超過利益モデルで株式価値を求めることができます。
適切です。
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