中小企業診断士の過去問
令和4年度(2022年)
企業経営理論 問7

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和4年度(2022年) 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

ファミリービジネスの4Cモデルは、Continuity(継続性)、Community(同族集団)、Connection(良き隣人であること)、Command(自由な行動と環境適応)という4つを重要な要素とするものである。4Cモデルに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 4Cモデルは、4つの要素の中で自社の特徴を最も発揮できる要素を発見し、それを強化するためのものである。
  • 4Cモデルは、家族、企業の所有者、経営者など複数の属性を持つ構成員から成り立つファミリービジネスの複雑な利害関係を解決するためのものである。
  • 4Cモデルは、競争優位の確立とファミリー固有のビジョンや目標を両立させるためのものである。
  • 4Cモデルは、所有と経営を分離する過程で、ファミリービジネスの長所を維持するためのものである。
  • 4Cモデルは、それぞれの要素にプラスの側面とマイナスの側面があることを認めたものである。

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この過去問の解説 (3件)

01

ファミリービジネスに関する問題です。

中小企業では事業承継の問題がホットな話題であり、ファミリービジネス(同族経営)に関する設問は今後も増えると予想されます。

しかしながら、巷のテキストではこれに関する記述は少なく感じます。

そこで、奥村昭博氏の論文「ファミリービジネスの理論」を一読することをお勧めします。

(webで検索してください。)

スリーサークルモデル、PPPモデル、4Cモデル、資源ベース理論(VRIO)、プリンシパル-エージェント理論、社会情緒的資産理論などの知識が事例と共に整理されています。

4CモデルとはContinuity(継続性)、Community(同族集団)、Connection(良き隣人であること)、Command(自由な行動と環境適応)という4つを重要な要素からファミリービジネスの経営が成り立っているとする考え方です。

本問は「ファミリービジネスの理論」をもとに解説していきます。

選択肢1. 4Cモデルは、4つの要素の中で自社の特徴を最も発揮できる要素を発見し、それを強化するためのものである。

誤り

この記述は資源ベース理論(VRIO)の説明です。

4つの要素V(価値)、R(希少性)、I(模倣困難性)、O(組織)で、自社の経営資源やバリューチェーンに強みがあるかどうか問いかけます。

選択肢2. 4Cモデルは、家族、企業の所有者、経営者など複数の属性を持つ構成員から成り立つファミリービジネスの複雑な利害関係を解決するためのものである。

誤り

この記述はスリーサークルモデルの説明です。

ファミリービジネスで生じるコンフリクトを、家族、所有者、従業員といった構成者に分類し、立場の違いで問題を考えるモデルです。

選択肢3. 4Cモデルは、競争優位の確立とファミリー固有のビジョンや目標を両立させるためのものである。

誤り

PPP(パラレル・プランニング・プロセス)モデルの説明です。

ファミリービジネスを永続的に成功させるために、ファミリー固有のビジョンと合理的な戦略を並行的に行うことを指します。

選択肢4. 4Cモデルは、所有と経営を分離する過程で、ファミリービジネスの長所を維持するためのものである。

誤り

プリンシパル-エージェント理論の説明です。

ファミリービジネスではプリンシパル(所有者)とエージェント(経営者)が一致している場合が多いです。

経営と所有が一致していると、ガバナンスが弱くなります。(非合理な戦略や身内びいきの人事など)

この対策として、外部取締役の活用や、銀行等のステークホルダーによる圧力といった「インフォーマル・コントロール」が有効です。

選択肢5. 4Cモデルは、それぞれの要素にプラスの側面とマイナスの側面があることを認めたものである。

正しい

4Cモデルの4つの側面には正と負の両面があり、ファミリービジネスが永続して成功するには、その要素のどれかに傾かないことが重要だとされています。

参考になった数30

02

4Cモデルに関する問題です。中小企業診断士試験ではあまり出題されていない論点のようです。

4Cモデルでは、問題文にある4つの要素の組み合わせからファミリービジネスが成立するとしながらも、実際にはそれらが複雑に絡み合い、それらの微妙なバランスの上に成り立つものとされています。その上でそれらの要素の一つに傾くのではなく、バランスを取った経営が重要であるとしています。

選択肢1. 4Cモデルは、4つの要素の中で自社の特徴を最も発揮できる要素を発見し、それを強化するためのものである。

冒頭の説明より、いずれか一つの特徴を強化することよりもそれぞれの要素のバランスを取ることが重要とされています。

選択肢2. 4Cモデルは、家族、企業の所有者、経営者など複数の属性を持つ構成員から成り立つファミリービジネスの複雑な利害関係を解決するためのものである。

家族、企業の所有者、経営者といった複数の属性を持つ構成員から成り立つファミリービジネスの複雑な利害関係を表すものとして「スリー・サークル・モデル」がありますが、これと4Cモデルはそれぞれがファミリービジネスを経営モデルとして表したものであり、4Cモデルがスリー・サークル・モデルの欠点を解決するものになるという訳ではありません。

選択肢3. 4Cモデルは、競争優位の確立とファミリー固有のビジョンや目標を両立させるためのものである。

競争優位の確立とファミリー固有のビジョンや目標を両立させるものというよりは、トレードオフの関係にあるというべきです(競争優位を優先すべき局面においてファミリー固有のビジョンや目標の優先度を下げる等)。

選択肢4. 4Cモデルは、所有と経営を分離する過程で、ファミリービジネスの長所を維持するためのものである。

4Cモデルでは所有と経営を分離することは前提となっていません。

選択肢5. 4Cモデルは、それぞれの要素にプラスの側面とマイナスの側面があることを認めたものである。

正解です。

4Cモデルではそれぞれの要素のうち、一つだけを優先させるとファミリービジネスの運営上のバランスを崩すので、それらのバランスを保ちながら運営することが重要であるとされています。

まとめ

出題機会のあまりない論点で難しいと思いますが、4Cモデルの内容(4つのCの意味)は覚えておいたほうがよいでしょう。

参考になった数6

03

ファミリービジネスの4Cモデルに関する問題です。

選択肢1. 4Cモデルは、4つの要素の中で自社の特徴を最も発揮できる要素を発見し、それを強化するためのものである。

不適切です。

4Cモデルは、4つの要素のいずれにも傾かないことが重要であるとされています。

選択肢2. 4Cモデルは、家族、企業の所有者、経営者など複数の属性を持つ構成員から成り立つファミリービジネスの複雑な利害関係を解決するためのものである。

不適切です。

これはスリー・サークル・モデルの説明文です。

選択肢3. 4Cモデルは、競争優位の確立とファミリー固有のビジョンや目標を両立させるためのものである。

不適切です。

これはPPP(パラレル・プランニング・プロセス)モデルの説明です。

選択肢4. 4Cモデルは、所有と経営を分離する過程で、ファミリービジネスの長所を維持するためのものである。

不適切です。

これはエージェンシー理論の説明です。

選択肢5. 4Cモデルは、それぞれの要素にプラスの側面とマイナスの側面があることを認めたものである。

適切です。

それぞれの要素にプラスの側面とマイナスの側面があることを認めたうえで、いずれの要素にも傾かないことを重要としています。

参考になった数5