中小企業診断士の過去問
令和4年度(2022年)
企業経営理論 問11

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和4年度(2022年) 問11 (訂正依頼・報告はこちら)

企業が海外に進出する際の形態に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 完全子会社を新設し、海外市場に進出する形態をブラウンフィールドと呼び、1980年代に日本企業が海外に進出するとき、この方法が多用された。
  • 企業が他の国の会社を買収することをクロスボーダー企業買収と呼び、海外進出形態の中で最も時間のかかる参入方法である。
  • 戦略的提携による海外進出とは、提携に参加するすべての企業が出資をした上で、進出国のパートナーと進出国で事業を行うことである。
  • ライセンス契約で海外進出をする場合、契約が失効した後、ライセンシーがライセンサーの競合企業となるリスクがある。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

企業の海外進出に関する問題です。

経営法務や中小企業経営・政策の分野にも関連する領域です。

選択肢1. 完全子会社を新設し、海外市場に進出する形態をブラウンフィールドと呼び、1980年代に日本企業が海外に進出するとき、この方法が多用された。

誤り

ブラウンフィールドとは「すでに手がついている」という意味で、転じて既存設備を活用して投資をすること、現地の会社に投資することを指します。

一方、グリーンフィールドとは「手のついていない、更地の」という意味で、ゼロから投資していくことを指します。

現地法人を設立する海外進出には

①親企業の独資(完全子会社)

②現地企業との共同出資(合弁)

③現地企業の買収(クロスボーダー企業買収)

がありますが、設問の「完全子会社を新設し」はグリーンフィールドに当たるため、誤りです。

選択肢2. 企業が他の国の会社を買収することをクロスボーダー企業買収と呼び、海外進出形態の中で最も時間のかかる参入方法である。

誤り

現地法人を設立する海外進出には

①親企業の独資(完全子会社)

②現地企業との共同出資(合弁)

③現地企業の買収(クロスボーダー企業買収)

がありますが、時間のかかる方法は完全子会社の設立、時間のかからない方法はクロスボーダー企業買収です。よって誤りです。

選択肢3. 戦略的提携による海外進出とは、提携に参加するすべての企業が出資をした上で、進出国のパートナーと進出国で事業を行うことである。

誤り

戦略的提携には資本出資が伴わない場合があります。

「すべての」という強調表現には要注意です。

選択肢4. ライセンス契約で海外進出をする場合、契約が失効した後、ライセンシーがライセンサーの競合企業となるリスクがある。

正しい

記述の通りです。

ライセンス契約やOEM・PBの知識を思い出してください。

相手企業に委託生産することで、その企業は様々なノウハウ・技術(=経営資源)を蓄えることができます。契約失効後は、蓄積したノウハウを元に自社製品・自社ブランドを展開していく可能性があります。

参考になった数22

02

企業の海外進出方法に関する出題です。報道などでもよく出てくる言葉ですので、耳にしたら内容を頭の中に展開できるようにしておくとよいでしょう。

選択肢1. 完全子会社を新設し、海外市場に進出する形態をブラウンフィールドと呼び、1980年代に日本企業が海外に進出するとき、この方法が多用された。

ブラウンフィールド(投資)とは、外国に投資をする際に、現地の既存の生産設備やインフラ施設等に資金を投入して活用する形態の投資をいいます。

選択肢2. 企業が他の国の会社を買収することをクロスボーダー企業買収と呼び、海外進出形態の中で最も時間のかかる参入方法である。

「海外進出形態の中で最も時間のかかる参入方法」という点が誤りです。相手企業の買収による海外進出は、当該企業自身が海外進出する方法に比較してはるかに短期間で実現可能な方式です。

選択肢3. 戦略的提携による海外進出とは、提携に参加するすべての企業が出資をした上で、進出国のパートナーと進出国で事業を行うことである。

「進出国のパートナーと進出国で事業を行うこと」が誤りです。最近の大手企業同士の戦略的提携のように、必ずしも双方の相手国同士だけでなく、グローバルな市場での影響力確保を目指した提携もあります。

選択肢4. ライセンス契約で海外進出をする場合、契約が失効した後、ライセンシーがライセンサーの競合企業となるリスクがある。

正解です。

ライセンス契約にもとづく海外進出とは、ライセンスを有する企業(ライセンサー)が進出相手国の企業(ライセンシー)とライセンス契約を締結し、ライセンシーに進出国内でのライセンス使用を許可することでビジネスを展開する方法です。ライセンサー自身はライセンス使用を許可することでビジネス展開が可能となるので、資金面で非常にメリットがある一方、ライセンス契約が失効してしまうとライセンシー側は契約期間内の活動で得たノウハウ等を利用してライセンサーの競合企業となるおそれがあるのがデメリットとなります。

まとめ

海外進出方法の名前とメリット・デメリットに関する問題でした。パターンとその内容ということで内容の整理をしておきましょう。

参考になった数8

03

企業が海外に進出する際の形態に関する問題です。

選択肢1. 完全子会社を新設し、海外市場に進出する形態をブラウンフィールドと呼び、1980年代に日本企業が海外に進出するとき、この方法が多用された。

不適切です。

ブラウンフィールドとは、工場などの建物が建っている土地に、新たに設備投資をして新しい工場を建設したり、既存設備を刷新したりすることです。

選択肢2. 企業が他の国の会社を買収することをクロスボーダー企業買収と呼び、海外進出形態の中で最も時間のかかる参入方法である。

不適切です。

クロスボーダー企業買収とは、譲渡企業または譲受企業のいずれか一方が外国企業である企業買収のことです。新たに会社を作るのではなく、買収による海外進出ですので、比較的時間はかかりません。

選択肢3. 戦略的提携による海外進出とは、提携に参加するすべての企業が出資をした上で、進出国のパートナーと進出国で事業を行うことである。

不適切です。

戦略提携には資本の出資を伴わないものもあります。

選択肢4. ライセンス契約で海外進出をする場合、契約が失効した後、ライセンシーがライセンサーの競合企業となるリスクがある。

適切です。

参考になった数5