中小企業診断士の過去問
令和4年度(2022年)
企業経営理論 問16

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和4年度(2022年) 問16 (訂正依頼・報告はこちら)

動機づけ理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 期待理論では、職務成果と報酬とのつながりが明確な場合に報酬の魅力度が高まりやすいことを根拠として、人事評価制度の透明性が仕事に対する従業員のモチベーションを高めると考える。
  • 公平理論では、従業員間で報酬に関する不公平感が生まれないように公正に処遇することで、仕事の量と質を現状よりも高めるように従業員を動機づけられると考える。
  • 動機づけ・衛生理論(二要因理論)では、職場の物理的な作業条件を改善することは、仕事に対する従業員の不満を解消するための方法として有効ではないと考える。
  • D.C.マクレランドの欲求理論では、達成欲求の高い従業員は、成功確率が低く挑戦的な目標よりも、成功確率が中程度の目標の方により強く動機づけられると考える。
  • D.マグレガーが「X理論」と命名した一連の考え方では、人間は生来的に仕事が嫌いで責任回避の欲求を持つため、やりがいが強く感じられる仕事を与えて責任感を育てる必要があると考える。

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この過去問の解説 (3件)

01

動機付け理論に関する基本問題です。

頻出ですので、教科書で体系的に覚えましょう。

選択肢1. 期待理論では、職務成果と報酬とのつながりが明確な場合に報酬の魅力度が高まりやすいことを根拠として、人事評価制度の透明性が仕事に対する従業員のモチベーションを高めると考える。

誤り

前半は正しいです。人事評価には透明性・公平性・納得性の三原則がありますが、期待理論は公平性に関係しています。

選択肢2. 公平理論では、従業員間で報酬に関する不公平感が生まれないように公正に処遇することで、仕事の量と質を現状よりも高めるように従業員を動機づけられると考える。

誤り

公平性を高めることは、「不平等」という不満を解消することはできますが、

それだけで仕事のパフォーマンスが動機付けられるとは考えにくいです。

選択肢3. 動機づけ・衛生理論(二要因理論)では、職場の物理的な作業条件を改善することは、仕事に対する従業員の不満を解消するための方法として有効ではないと考える。

誤り

動機付け・衛生理論では職場の作業改善は、不満足の解消に有効です。

しかし、これだけでは仕事への満足度を高めることはできません。

選択肢4. D.C.マクレランドの欲求理論では、達成欲求の高い従業員は、成功確率が低く挑戦的な目標よりも、成功確率が中程度の目標の方により強く動機づけられると考える。

正しい

マクレランドの三欲求のうち達成欲求では、難易度が中程度のときに高いパフォーマンスを発揮すると考えられています。

選択肢5. D.マグレガーが「X理論」と命名した一連の考え方では、人間は生来的に仕事が嫌いで責任回避の欲求を持つため、やりがいが強く感じられる仕事を与えて責任感を育てる必要があると考える。

誤り

前半は正しいです。X理論では、命令と統制による管理が有効とされています。

Y理論では目標管理制度(MBO)が有効で、従業員の主体的な自己統制が有効と考えられています。ちなみに、X理論のXは「バツ」で消極的な人間観、Y理論のYは「イエス」で積極的な人間観と覚えると混乱しにくいですよ。

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02

動機付け理論に関する出題です。頻出論点で、いろいろと内容を変えて出題されています。代表的な理論とその内容を整理しておきましょう。

選択肢1. 期待理論では、職務成果と報酬とのつながりが明確な場合に報酬の魅力度が高まりやすいことを根拠として、人事評価制度の透明性が仕事に対する従業員のモチベーションを高めると考える。

ブルームの期待理論に関する設問です。設問では人事評価制度の透明性が従業員のモチベーションを高めるとしていますが、人事評価の透明性というよりも公平性に関係する理論です。

選択肢2. 公平理論では、従業員間で報酬に関する不公平感が生まれないように公正に処遇することで、仕事の量と質を現状よりも高めるように従業員を動機づけられると考える。

公平理論は人間の不公平感という主観から生じるモチベーションの変化を理論化したものですが、インプットとアウトプットの比を考慮するなどの公正な評価により、仕事の量を高めることはできても仕事の質まで高めることを動機付けできるとは限りません。

選択肢3. 動機づけ・衛生理論(二要因理論)では、職場の物理的な作業条件を改善することは、仕事に対する従業員の不満を解消するための方法として有効ではないと考える。

ハーズバーグの動機付け・衛生理論に関する設問です。動機付け要因とは仕事に対する満足に関わる要因であり、衛生要因とは不満に関わる要因です。職場の物理的な作業条件を改善することは、仕事に対する従業員の不満を解消するための方法としては有効です。さらに満足度を高めるためには動機付け要因にもとづくモチベーションを上げることが必要になります。

選択肢4. D.C.マクレランドの欲求理論では、達成欲求の高い従業員は、成功確率が低く挑戦的な目標よりも、成功確率が中程度の目標の方により強く動機づけられると考える。

正解です。

マクレランドの欲求理論では、「達成欲求」「権力欲求」「親和欲求」の3種類の主要な欲求(または動機)が存在するとされています。このうち、達成欲求については、達成欲求の強い従業員ほど個人的な進歩に最大の関心があるため、何事も自分の手でやることを望み、中程度のリスクを好み、自分が行ったことの結果について迅速なフィードバックを欲しがる、という傾向があります。達成することを重視するあまり、成功率の低いものを回避する傾向があるということです。

選択肢5. D.マグレガーが「X理論」と命名した一連の考え方では、人間は生来的に仕事が嫌いで責任回避の欲求を持つため、やりがいが強く感じられる仕事を与えて責任感を育てる必要があると考える。

X理論にもとづく考え方によれば、従業員に対しては命令や統制により仕事に従事させる(違反した場合は罰則)という接し方をするべきだと考えられています。従業員に対してやりがいが強く感じられる仕事を与えるのは、Y理論にもとづく考え方です。

まとめ

代表的理論については、誰の、どういう名の、どういう内容の理論なのかを正確に理解しておくようにしましょう。

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03

動機づけ理論に関する問題です。

選択肢1. 期待理論では、職務成果と報酬とのつながりが明確な場合に報酬の魅力度が高まりやすいことを根拠として、人事評価制度の透明性が仕事に対する従業員のモチベーションを高めると考える。

不適切です。

前半部分は正しいですが、期待理論では人事評価制度の「公平性」が従業員のモチベーションにつながるとされています。

選択肢2. 公平理論では、従業員間で報酬に関する不公平感が生まれないように公正に処遇することで、仕事の量と質を現状よりも高めるように従業員を動機づけられると考える。

不適切です。

公平理論では他者と比較して不公平がある場合に公平性を感じるように行動することを指します。そのため仕事の量と質を現状よりも高めるモチベーションとはなりません。

選択肢3. 動機づけ・衛生理論(二要因理論)では、職場の物理的な作業条件を改善することは、仕事に対する従業員の不満を解消するための方法として有効ではないと考える。

不適切です。

動機づけ・衛生理論では、職場の物理的な作業条件の改善は従業員の不満の解消に有効とされています。

選択肢4. D.C.マクレランドの欲求理論では、達成欲求の高い従業員は、成功確率が低く挑戦的な目標よりも、成功確率が中程度の目標の方により強く動機づけられると考える。

適切です。

選択肢5. D.マグレガーが「X理論」と命名した一連の考え方では、人間は生来的に仕事が嫌いで責任回避の欲求を持つため、やりがいが強く感じられる仕事を与えて責任感を育てる必要があると考える。

不適切です。

X理論とは「人間は本来仕事が嫌いであり、仕事をさせるには命令・強制が必要である」で、Y理論は「仕事をするのは人間の本性であり、自分が設定した目標に対し積極的に行動する」という考え方です。問題の後半部分はY理論の説明になっています。

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