中小企業診断士の過去問
令和4年度(2022年)
企業経営理論 問26

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和4年度(2022年) 問26 (訂正依頼・報告はこちら)

労働組合法の定めに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 労働組合が特定の事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することは、不当労働行為に該当するため認められない。
  • 労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、その内容が労働者と使用者との労働契約の内容になるため、当事者が署名又は記名押印した書面を作成することなく当事者の口頭によって交わされたものであっても労働協約としての効力を生ずる。
  • 労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。
  • 労働者が労働組合を結成し、もしくは運営することを支配し、もしくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えることは、使用者が行ってはならない不当労働行為に当たるため、使用者は、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを許してはならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

労働組合法に関する問題です。要点を押さえておくようにしましょう。

選択肢1. 労働組合が特定の事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することは、不当労働行為に該当するため認められない。

不適切です。

労働組合法第7条では、不当労働行為として使用者が行ってはいけないことが挙げられており、その中に、「労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。」が挙げられていますが、「ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。」と定められており、不当労働行為に該当は該当しません。

選択肢2. 労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、その内容が労働者と使用者との労働契約の内容になるため、当事者が署名又は記名押印した書面を作成することなく当事者の口頭によって交わされたものであっても労働協約としての効力を生ずる。

不適切です。

労働組合法第14条で「労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによってその効力を生ずる。」と定められており、口頭では効力を生じません。

選択肢3. 労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。

適切です。

労働組合法第6条で「労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。」と定められています。

選択肢4. 労働者が労働組合を結成し、もしくは運営することを支配し、もしくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えることは、使用者が行ってはならない不当労働行為に当たるため、使用者は、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを許してはならない。

不適切です。

労働組合法第7条では、不当労働行為として使用者が行ってはいけないことが挙げられており、その中に、「労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。」が挙げられていますが、「ただし、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、かつ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。」と定められており、不当労働行為に該当は該当しません。

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02

労働組合法に関する出題です。労働法令のうち、労働基準法に次いで出題されやすい法令です。

選択肢1. 労働組合が特定の事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することは、不当労働行為に該当するため認められない。

「労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約」は不当労働行為に該当しません(ユニオンショップ制度として認められています)。

選択肢2. 労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、その内容が労働者と使用者との労働契約の内容になるため、当事者が署名又は記名押印した書面を作成することなく当事者の口頭によって交わされたものであっても労働協約としての効力を生ずる。

労働協約は、書面として作成し、両当事者(労働組合と使用者)が署名し、又は記名押印することによってその効力を生ずることとされています(労働組合法第14条)。

選択肢3. 労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。

正解です。

労働組合法第6条の規定です。

選択肢4. 労働者が労働組合を結成し、もしくは運営することを支配し、もしくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えることは、使用者が行ってはならない不当労働行為に当たるため、使用者は、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを許してはならない。

「使用者は、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉すること」を妨げるものではありません(労働組合法第7条)。

まとめ

労働組合法についても、覚えきれないという方は過去問で出題された部分を中心に押さえておきましょう。

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03

労働組合法とは、労働者が使用者と対等な立場で交渉を行うことで、労働者の地位を向上できるようにするために制定されました。

各選択肢をそれぞれ解説します。

選択肢1. 労働組合が特定の事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することは、不当労働行為に該当するため認められない。

労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とすることは、労働組合法第7条1項但し書きにて認められています。そのことをユニオンショップ協定と呼びます。

ユニオンショップ協定を結んだ場合は、該当の労働組合を脱退や除名された場合には、解雇されることになります。

不当労働行為には該当しないため、本選択肢は不正解です。

選択肢2. 労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、その内容が労働者と使用者との労働契約の内容になるため、当事者が署名又は記名押印した書面を作成することなく当事者の口頭によって交わされたものであっても労働協約としての効力を生ずる。

当事者の口頭のみによって交わされた労働協約は、効力を持ちません

効力を発揮する労働協約となるには、書面を作成し、労当事者が署名または記名押印する必要があります。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢3. 労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。

労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者が、有する権限の説明として適切です。

そのため本選択肢が正解です。

選択肢4. 労働者が労働組合を結成し、もしくは運営することを支配し、もしくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えることは、使用者が行ってはならない不当労働行為に当たるため、使用者は、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを許してはならない。

問題文の前半の支配介入と経費援助は不当労働行為に該当しますが、労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議することは、経費援助には該当しないとされているため不当労働行為に該当しません

そのため本選択肢は不正解です。

まとめ

労働組合法は、労働基準法と労働関係調整法と合わせて労働三法と呼ばれています。

そのため学習していることも考えられますが、本問は選択肢の内容の不自然さからも正解を絞ることが可能だったと思われます。

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