中小企業診断士の過去問
令和4年度(2022年)
運営管理 問18
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 運営管理 令和4年度(2022年) 問18 (訂正依頼・報告はこちら)
ある設備について、1,000時間の負荷時間内での設備データを収集したところ下表が得られた。
以下の改善施策を、期待される設備総合効率の高い順に並べたものとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。ただし、負荷時間は同じで、その他の条件も変わらないものとする。
a 不適合の原因を検討して、不適合品率を20%から15%にする。
b 速度低下の原因を改善して、加工数量を6,720個から7,680個にする。
c 段取作業を改善して、停止時間を半減させ、稼働時間を800時間から900時間にする。
以下の改善施策を、期待される設備総合効率の高い順に並べたものとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。ただし、負荷時間は同じで、その他の条件も変わらないものとする。
a 不適合の原因を検討して、不適合品率を20%から15%にする。
b 速度低下の原因を改善して、加工数量を6,720個から7,680個にする。
c 段取作業を改善して、停止時間を半減させ、稼働時間を800時間から900時間にする。
- a - b - c
- b - a - c
- b - c - a
- c - a - b
- c - b - a
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は3です。
設備総合効率とは、設備の使用効率を示す指標です。
計算式は、時間稼働率×性能稼働率×良品率で表されます。
改善前のそれぞれの値は、
時間稼働率=稼働時間/負荷時間 800時間/1000時間=0.8
性能稼働率=基準サイクルタイム×加工数量/稼働時間 5分×6720個/48000分=0.7
良品率=1-不良率 1-0.2=0.8
設備総合効率=0.8×0.7×0.8=0.448です。
a、b、cそれぞれの改善後の設備総合効率は以下の通りです。
a 不適合品率を20%→15%にした場合、
良品率=1-0.15=0.85
設備総合効率=0.8×0.7×0.85=0.476
b 加工数量を6720個→7680個とした場合、
性能稼働率=5分×7680個/48000分=0.8
設備総合効率=0.8×0.8×0.8=0.512
c 稼働時間を800時間から900時間にした場合、
時間稼働率=900時間/1000時間=0.9
設備総合効率=0.9×0.7×0.8=0.504
改善後の設備総合効率の高い順に並べると、b→c→aとなります。
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02
設備総合効率に関する問題です。
設備総合効率の計算式は「時間稼働率×性能稼働率×良品率」ですが、改善施策a~cで挙げられている内容から以下のことが分かります。
a:良品率を改善させる
本問では、良品率を80%→85%にすることと読み換えることができます。
b:性能稼働率を改善させる
既に明記されていますが、加工数量を6,720個→7,680個に改善することです。
c:時間稼働率を向上させる
既に明記されていますが、稼働時間を800時間→900時間に改善することです。
本問のコツとしては、改善施策a~cについての「変化率」を算出することにより、設備総合効率の高い順に並べ換えることが可能です。
a:(85/80)×100%より、106.25%となります。
b:(7,680/6,720)×100%より、114.28...%となります。
c:(900/800)×100%より、112.5%となります。
※変化率とは、財務諸表分析で売上高前年比〇〇%等として成長性を求めるものです。
例えば前期の売上高が1億円、今期の売上高が1.1億円であれば、変化率(成長率)は110%となります。(今期の売上高は前期よりも10%増加している、と評価することができます)
不適切な選択肢です。
不適切な選択肢です。
正解の選択肢となります。
不適切な選択肢です。
不適切な選択肢です。
【補足】
冒頭の解説以外で本問を解く方法としては、オーソドックスに設備総合効率の計算式「時間稼働率×性能稼働率×良品率」に施策a~cで与えられている数値を入力して、それぞれ数値を求めることです。
ちなみに、計算するとaは47.6%、bは51.2%、cは50.4%となり、答えは同じです。
設備総合効率の計算式は(基準サイクルタイム×良品数)/負荷時間に簡素化できますが、それでも1マークに対して使うことができる時間を超えるかも知れません。
本科目は試験時間90分ですが、約45マーク近く出題されるため、見直しの時間も含めると1マークに1分半程度しか使うことができません。(2分かけていると、見直しの時間が確保できません)
計算問題が多く出題される財務会計のような科目では、過去問題を使って解答手順を身に付けることは非常に効果的ですが、科目ごとに試験時間やマーク数等の問題構成が異なるため、どの科目も同じ方法で学習するのは非効率的です。(日々の学習がワンパターン化していまい、苦痛を伴うようになります)
したがって、科目によっては反復や暗記よりも、より短時間で正答に辿り着くことができる解答のバリエーション、いわゆる「テクニック」を身に付けておき、反復や暗記だけに依存する一本足打法の勉強法に陥らないようにすることが肝心であると考えます。
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03
設備総合効率とは、生産設備を利用できる時間(負荷時間)において、良品を生産するために要した時間の割合のことです。
計算式は以下のとおりです。
設備総合効率 = 時間稼働率 × 性能稼働率 × 良品率
まずは改善策を実施する前の総合設備効率を求めます。
時間稼働率は負荷時間内での稼働時間の割合のため以下のように求めます。
時間稼働率 = 稼働時間 ÷ 負荷時間
改善前は以下のようになります。
時間稼働率 = 800 ÷ 1000 × 100 = 80%
性能稼働率は稼働時間のうち、実際に製品を製造していた時間である正味稼働時間の割合のことです。
正味稼働時間は基準サイクルタイムに加工数量を乗じて求められます
正味稼働時間 = 基準サイクルタイム × 加工数量
そのため以下のようになります。単位を「分」ではなく「時間」に合わせて計算をしています。
正味稼働時間 = 5 × 6720 ÷ 60 = 560時間
性能稼働率を求める計算式は下記のとおりです。
性能稼働率 = 正味稼働時間 ÷ 稼働時間
ここまでに求めた数値で計算をします。
性能稼働率 = 560 ÷ 800 × 100 = 70%
最後に良品率を求めます。問題文で不適合品率(不良品率)が提示されているため以下のように計算できます。
良品率 = 1 - 不適合品率
良品率 = ( 1 - 0.2 ) × 100 = 80%
よって改善施策を行う前の設備総合効率は以下のようになります。
設備総合効率 = 80% × 70% × 80% = 44.8%
今度は改善施策を行なった場合を計算していきます。
Aの施策では良品率が改善します。改善した良品率は以下のように計算できます。
(改善後)良品率 = ( 1 - 0.15 ) × 100 = 85%
Aの施策で改善した設備総合効率を計算します。
(改善後)設備総合効率 = 80% × 70% × 85% =47.6%
Bの施策では正味稼働時間が伸長することで、性能稼働率が改善できます。
(改善後)正味稼働時間 = 5 × 7680 ÷ 60 = 640時間
(改善後)性能稼働率 = 640 ÷ 800 × 100 = 80%
Bの施策で改善した設備総合効率を計算します。
(改善後)設備総合効率 = 80% × 80% × 80% =51.2%
Cの施策では時間稼働率が改善します。改善した時間稼働率を計算します。
(改善後)時間稼働率 = 900 ÷ 1000 × 100 = 90%
Cの施策で改善した設備総合効率を計算します。
(改善後)設備総合効率 = 90% × 70% × 80% = 50.4%
各施策で改善できる設備総合効率は以下のようになります。
(施策aで改善した)設備総合効率 47.6%
(施策bで改善した)設備総合効率 51.2%
(施策aで改善した)設備総合効率 50.4%
期待される設備総合効率の高い順に並べると下記のようになります。
b - c - a
b - c - aが正しいため本選択肢は不正解です。
b - c - aが正しいため本選択肢は不正解です。
b - c - aが正しいため本選択肢は不正解です。
設備総合効率も問われることが多い論点です。
一見すると複雑な計算が必要にも思えますが、繰り返し学習すれば用語の意味を問う問題でも、本問のように計算する問題でも得点源にすることは十分に可能です。
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