問題
以下の改善施策を、期待される設備総合効率の高い順に並べたものとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。ただし、負荷時間は同じで、その他の条件も変わらないものとする。
a 不適合の原因を検討して、不適合品率を20%から15%にする。
b 速度低下の原因を改善して、加工数量を6,720個から7,680個にする。
c 段取作業を改善して、停止時間を半減させ、稼働時間を800時間から900時間にする。
正解は3です。
設備総合効率とは、設備の使用効率を示す指標です。
計算式は、時間稼働率×性能稼働率×良品率で表されます。
改善前のそれぞれの値は、
時間稼働率=稼働時間/負荷時間 800時間/1000時間=0.8
性能稼働率=基準サイクルタイム×加工数量/稼働時間 5分×6720個/48000分=0.7
良品率=1-不良率 1-0.2=0.8
設備総合効率=0.8×0.7×0.8=0.448です。
a、b、cそれぞれの改善後の設備総合効率は以下の通りです。
a 不適合品率を20%→15%にした場合、
良品率=1-0.15=0.85
設備総合効率=0.8×0.7×0.85=0.476
b 加工数量を6720個→7680個とした場合、
性能稼働率=5分×7680個/48000分=0.8
設備総合効率=0.8×0.8×0.8=0.512
c 稼働時間を800時間から900時間にした場合、
時間稼働率=900時間/1000時間=0.9
設備総合効率=0.9×0.7×0.8=0.504
改善後の設備総合効率の高い順に並べると、b→c→aとなります。
設備総合効率とは、生産設備を利用できる時間(負荷時間)において、良品を生産するために要した時間の割合のことです。
計算式は以下のとおりです。
設備総合効率 = 時間稼働率 × 性能稼働率 × 良品率
まずは改善策を実施する前の総合設備効率を求めます。
時間稼働率は負荷時間内での稼働時間の割合のため以下のように求めます。
時間稼働率 = 稼働時間 ÷ 負荷時間
改善前は以下のようになります。
時間稼働率 = 800 ÷ 1000 × 100 = 80%
性能稼働率は稼働時間のうち、実際に製品を製造していた時間である正味稼働時間の割合のことです。
正味稼働時間は基準サイクルタイムに加工数量を乗じて求められます
正味稼働時間 = 基準サイクルタイム × 加工数量
そのため以下のようになります。単位を「分」ではなく「時間」に合わせて計算をしています。
正味稼働時間 = 5 × 6720 ÷ 60 = 560時間
性能稼働率を求める計算式は下記のとおりです。
性能稼働率 = 正味稼働時間 ÷ 稼働時間
ここまでに求めた数値で計算をします。
性能稼働率 = 560 ÷ 800 × 100 = 70%
最後に良品率を求めます。問題文で不適合品率(不良品率)が提示されているため以下のように計算できます。
良品率 = 1 - 不適合品率
良品率 = ( 1 - 0.2 ) × 100 = 80%
よって改善施策を行う前の設備総合効率は以下のようになります。
設備総合効率 = 80% × 70% × 80% = 44.8%
今度は改善施策を行なった場合を計算していきます。
Aの施策では良品率が改善します。改善した良品率は以下のように計算できます。
(改善後)良品率 = ( 1 - 0.15 ) × 100 = 85%
Aの施策で改善した設備総合効率を計算します。
(改善後)設備総合効率 = 80% × 70% × 85% =47.6%
Bの施策では正味稼働時間が伸長することで、性能稼働率が改善できます。
(改善後)正味稼働時間 = 5 × 7680 ÷ 60 = 640時間
(改善後)性能稼働率 = 640 ÷ 800 × 100 = 80%
Bの施策で改善した設備総合効率を計算します。
(改善後)設備総合効率 = 80% × 80% × 80% =51.2%
Cの施策では時間稼働率が改善します。改善した時間稼働率を計算します。
(改善後)時間稼働率 = 900 ÷ 1000 × 100 = 90%
Cの施策で改善した設備総合効率を計算します。
(改善後)設備総合効率 = 90% × 70% × 80% = 50.4%
各施策で改善できる設備総合効率は以下のようになります。
(施策aで改善した)設備総合効率 47.6%
(施策bで改善した)設備総合効率 51.2%
(施策aで改善した)設備総合効率 50.4%
期待される設備総合効率の高い順に並べると下記のようになります。
b - c - a
b - c - aが正しいため本選択肢は不正解です。
b - c - aが正しいため本選択肢は不正解です。
b - c - aが正しいため本選択肢は不正解です。
設備総合効率も問われることが多い論点です。
一見すると複雑な計算が必要にも思えますが、繰り返し学習すれば用語の意味を問う問題でも、本問のように計算する問題でも得点源にすることは十分に可能です。