中小企業診断士の過去問
令和4年度(2022年)
運営管理 問28(2)

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 運営管理 令和4年度(2022年) 問28(2) (訂正依頼・報告はこちら)

以下は、文房具店の店主X氏と中小企業診断士(以下、「診断士」という。)との間で行われた会話である。この会話に基づく下記の設問に答えよ。

X氏:「最近は、近所の小学校の生徒数が少なくなっているので、子供向けの文房具の売上が落ちています。品揃えを変えていこうと考えているのですが、アドバイスをいただけますか。」
診断士:「品揃えの計画を立てるには、まず店舗の商圏における消費者のニーズを理解することが大事です。小学生が減っているということなので、新たな顧客層をターゲットにしたいですね。」
X氏:「店舗の徒歩圏には高齢者が多く居住しているのですが、あまり来店していません。高齢者の方に使ってもらえる店にしていきたいと思います。」
診断士:「ニーズに合った商品を品揃えすることで、購買の機会を増やしたいですね。どのようなニーズがありそうですか。」
X氏:「自治会では、高齢者の絵画サークルなどをやっているようなので、絵の具やデッサン用の鉛筆などの品揃えを増やそうと考えています。」
診断士:「買上点数を増やして①客単価を高めるために関連購買を促進できる取り組みをするのがよいでしょう。今はあまり来店されていないということなので、販売促進をして接客にも力を入れて常連客を増やすことが重要です。常連客の満足度を高めると、友人などへ口コミで店舗を薦めてもらえることも期待できます。」
X氏:「分かりました。」
診断士:「ただ、文房具は毎日買うものではありません。そこで、別の取り組みとして、高齢者が好む菓子や飲み物など、②今まで販売していない商品カテゴリーの品揃えをしてはどうでしょうか。また、商品を販売するだけでなく、ワークショップなどを開いてもよいかもしれません。」

会話の中の下線部②に記載されている、今まで販売していない商品カテゴリーの品揃えをするラインロビングに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 今回のラインロビングの取り組みでは、近隣の商店へ影響することはない。
  • 今回のラインロビングの取り組みでは、顧客の来店目的に影響することはない。
  • 今回のラインロビングを提案する主目的は、粗利益率を高めることにある。
  • 今回のラインロビングを提案する主目的は、買上点数を増やすことにある。
  • 今回のラインロビングを提案する主目的は、来店頻度を増やすことにある。

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この過去問の解説 (3件)

01

ラインとは商品カテゴリーをロビングとは奪うことを意味します。

新しい商品カテゴリーによって、他社からシェアを奪う販売戦略ラインロビングと呼びます。

下線部2 の施策の目的を問われている問題です。

選択肢1. 今回のラインロビングの取り組みでは、近隣の商店へ影響することはない。
  • ラインロビングとは他社のシェアを奪う戦略ですので近隣の店舗に影響します。そのため本選択肢は不正解です。

選択肢2. 今回のラインロビングの取り組みでは、顧客の来店目的に影響することはない。
  • ラインロビング戦略を取ると自店で取り扱う商品カテゴリーや品種が増えるため顧客の来店目的に影響すると考えられます。そのため本選択肢は不正解です。

選択肢3. 今回のラインロビングを提案する主目的は、粗利益率を高めることにある。
  • ラインロビングの目的は他社のシェアを奪うことにあり、粗利益率を高めることではありません。そのため本選択肢は不正解です。

選択肢4. 今回のラインロビングを提案する主目的は、買上点数を増やすことにある。
  • ラインロビングにより取り扱う商品カテゴリーや品種が増えた結果として、買上点数が増加することは考えられますが戦略の主目的ではないため、本選択肢は不正解です。

選択肢5. 今回のラインロビングを提案する主目的は、来店頻度を増やすことにある。
  • 問題文に文房具は毎日買うものではないとあります。今回提案している商品カテゴリーは高齢者が好む菓子や飲み物といった日用品に該当するものです。それらを品揃えする目的は毎日来なかった顧客の来店頻度を増やして、他店からシェアを奪うことにあると考えられます。そのため本選択肢が正解です。

まとめ

ラインロビングの戦略目的や内容から結果を類推すれば正解することは可能な問題です。

ただ、買上点数の増加が目的であるという選択肢が正解のようにも思えますが、問題文に顧客が毎日買うものではないことが問題であると記述されています。そこに照らし合わせると買上点数の増加を目的としている内容には齟齬があるため、その選択肢は不正解であると結論づけられます。

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02

ラインロビングに関する問題です。

 

ラインは商品ラインナップ(品揃え)、ロビングはrob(略奪する)が由来で、近隣店舗から売上や顧客内シェアを奪うことを意味します。

 

顧客内シェアとは、ある顧客が購買した商品総額のうち、自店舗で購買した商品総額がどの程度の割合を占めているかを示した数値をいいます。

 

一例を挙げると、顧客Aが購買した商品総額1万円のうち自店舗で購買した商品総額が3千円であれば、顧客Aにおける自店舗の顧客内シェアは30%になります。

選択肢1. 今回のラインロビングの取り組みでは、近隣の商店へ影響することはない。

今回のラインロビングの取り組みでは、近隣の商店への影響はあります

 

競合他社から売上や顧客内シェアを奪うことを目的とするので、近隣の商店への影響がないようなラインロビングを行なっても意味がありません。

選択肢2. 今回のラインロビングの取り組みでは、顧客の来店目的に影響することはない。

今回のラインロビングの取り組みでは、顧客の来店目的に影響はあります

 

本問の設定でいえば、文房具だけではなく、高齢者が好む菓子や飲み物など今まで販売していない商品カテゴリーの品揃えを行なうため、菓子や飲み物などを目的とした高齢者が来店することが考えられます。

選択肢3. 今回のラインロビングを提案する主目的は、粗利益率を高めることにある。

粗利益率を高めることが主目的であれば、利益率の高い文房具の品揃えを強化することを提案すると思われます。

選択肢4. 今回のラインロビングを提案する主目的は、買上点数を増やすことにある。

買上点数を増やすことが主目的であれば、文房具のアイテム数を増やすことを提案すると思われます。

選択肢5. 今回のラインロビングを提案する主目的は、来店頻度を増やすことにある。

正解の選択肢となります。

 

与件文に「文房具は毎日買うものではありません」という記述があります。

また、菓子や飲み物などは文房具よりは購買頻度が高いと考えられます。

まとめ

【補足】

最近ニュースになっているラインロビングの例としては、ドラッグストアが食品の取り扱いを強化していることが挙げられます。

 

医薬品や調剤を主体とするドラッグストアは、来店機会は週に1回未満かも知れません。そのため、食品という購買頻度の高い商品カテゴリーの品揃えを強化することで来店頻度を高めようとしています。

 

また、医薬品や調剤は粗利益率が高いため、食品カテゴリーの仕入原資も賄いやすいと考えられます。

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03

正解は5です。

ラインロビングとは、新しい商品カテゴリーの品揃えを取り扱うことで、競合店からそのシェアを奪うことです。

選択肢1. 今回のラインロビングの取り組みでは、近隣の商店へ影響することはない。

今回の取り組みにより、新しい商品カテゴリーと同様の商品を扱っている近隣の商店に影響があります。

選択肢2. 今回のラインロビングの取り組みでは、顧客の来店目的に影響することはない。

今回の取り組みにより、新しい商品カテゴリーに関心のある新規の顧客が来店することを期待できます。

選択肢3. 今回のラインロビングを提案する主目的は、粗利益率を高めることにある。

今回のラインロビングの目的は、商品カテゴリーの幅を広げ、顧客の来店を促すものであり、粗利益率の向上を目的としていません。

選択肢4. 今回のラインロビングを提案する主目的は、買上点数を増やすことにある。

今回のラインロビングの目的は、商品カテゴリーの幅を広げ、顧客の来店を促すものであり、買上点数の増加を目的としていません。

選択肢5. 今回のラインロビングを提案する主目的は、来店頻度を増やすことにある。

今回のラインロビングの目的は、商品カテゴリーの幅を広げ、顧客の来店を促すものであるため、来店頻度の増加が期待できます。

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