中小企業診断士の過去問
令和4年度(2022年)
運営管理 問30

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 運営管理 令和4年度(2022年) 問30 (訂正依頼・報告はこちら)

小売業の価格政策と特売に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • EDLP政策の場合、プライスラインは1つしか設けない。
  • 定番価格を高く設定していても、特売を頻繁に繰り返すと顧客の内的参照価格は低下する。
  • 特売による販売促進は、価格弾力性が低い商品ほどチラシなどで告知したときの集客効果が高い。
  • ハイ・ロープライシング政策では、特売時における対象商品の販売数量を最大化することで店全体の利益率が高まる。
  • 端数価格には、買物客に安さを感じさせる心理的効果はない。

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この過去問の解説 (3件)

01

代表的な価格政策についての問題です。

選択肢1. EDLP政策の場合、プライスラインは1つしか設けない。

毎日いつでも全ての商品を低価格で販売する政策です。恒常的低価格政策とも呼ばれます。客が他店へ行かないように全ての商品を低価格で販売する政策のため、複数のプライスラインを設定することもあります。そのため本選択肢は不正解です。

選択肢2. 定番価格を高く設定していても、特売を頻繁に繰り返すと顧客の内的参照価格は低下する。

内定参照価格とは、客が商品の価格について判断する際の基準として自身の記憶から想起する価格のことを意味します。特売を繰り返すと特売価格が、その商品の価格と記憶されてしまうため内的参照価格の低下が起こります。

そのため本選択肢が正解です。

選択肢3. 特売による販売促進は、価格弾力性が低い商品ほどチラシなどで告知したときの集客効果が高い。

価格弾力性とは価格を変更に対して、需要の変動が大きいかどうかを表します。選択肢のように価格弾力性の低い商品は特売をしても需要の増加は期待できないため集客効果は小さいと考えられます。そのため本選択肢は不正解です。

選択肢4. ハイ・ロープライシング政策では、特売時における対象商品の販売数量を最大化することで店全体の利益率が高まる。

ハイ・ロープライシング政策は、特売の対象商品の低価格さをアピールして集客する政策です。その問題点の一つに特売の対象商品ばかり購入されてしまうことで店全体の利益が低下することがあげられます。そのため本選択肢は不正解です。

選択肢5. 端数価格には、買物客に安さを感じさせる心理的効果はない。

切りの良い価格よりも端数価格の方が、客に安さを感じさせられるために端数価格は採用されています。そのため本選択肢は不正解です。

まとめ

今回の問題で取り上げられているような代表的な価格政策は名称と特徴を合わせて押さえておけば、論点として取り上げられることも多いため得点源にできると考えられます。

参考になった数5

02

正解2です。

選択肢1. EDLP政策の場合、プライスラインは1つしか設けない。

EDLP(Everyday Low Price)政策は、特定の日だけではなく、常に低価格戦略をとる価格政策のことです。

プライスラインとは、あるカテゴリーにおける個々の商品・サービスの販売価格のことです。EDLP政策の場合でも、プライスラインを複数設定することは問題ありません

選択肢2. 定番価格を高く設定していても、特売を頻繁に繰り返すと顧客の内的参照価格は低下する。

内的参照価格とは、過去の個人の経験などから形成された消費者が想定している価格のことです。

そのため、特売を頻繁に繰り返すと、その消費者が想定している価格は低下します。

選択肢3. 特売による販売促進は、価格弾力性が低い商品ほどチラシなどで告知したときの集客効果が高い。

価格弾力性が低い商品は、価格が低下しても、販売個数がそれほど増加しないため、価格弾力性が低い商品をチラシなどで告知したとしても集客への影響は大きくありません。

選択肢4. ハイ・ロープライシング政策では、特売時における対象商品の販売数量を最大化することで店全体の利益率が高まる。

ハイ・ロープライシング政策とは、特売などによって通常価格よりも安い価格で商品を提供したり、特売を中止し商品の価格を高くしたりする政策のことです。

特売商品の販売数量を最大化しても、利益率は高まりません。

特売商品により顧客を店内に呼び込み、定番商品の購入を促すことが目的です。

選択肢5. 端数価格には、買物客に安さを感じさせる心理的効果はない。

端数価格とは、298円や9800円などのように、切りの良い数字よりも安いと感じさせることで購入を促す価格のことです。

参考になった数3

03

小売業の価格政策と特売に関する問題です。

選択肢1. EDLP政策の場合、プライスラインは1つしか設けない。

EDLP政策は、プライスラインを1つしか設けないことではありません

 

EDLP政策の正式名称は「Every Day Low Price」といい、毎日が低価格という意味です。

選択肢2. 定番価格を高く設定していても、特売を頻繁に繰り返すと顧客の内的参照価格は低下する。

正解の選択肢となります。

 

内的参照価格とは、顧客が商品を購買する時に基準としている(幾らであれば購買するか)価格のことです。

 

特売が頻繁に繰り返され、顧客が決めている価格よりも安く購買することができれば内的参照価格は低下します。

選択肢3. 特売による販売促進は、価格弾力性が低い商品ほどチラシなどで告知したときの集客効果が高い。

特売による販売促進は、価格弾力性が高い商品ほどチラシなどで告知したときの集客効果が高いです。

 

価格弾力性とは、価格を一定割合下げた場合に、その商品の販売量がどの程度変化するかの割合をいいます。

 

価格弾力性は1よりも大きい場合に、価格弾力性が高くなります(価格を一定割合下げた場合に、その商品の販売量が大きくなります)。

選択肢4. ハイ・ロープライシング政策では、特売時における対象商品の販売数量を最大化することで店全体の利益率が高まる。

ハイ・ロープライシング政策では、特売時における対象商品の販売数量を最大化すると店全体の利益率が低下します

 

特売は利益幅を小さくする(利益率を削る)ことで、販売価格を下げています。

そのため、販売数量が大きくなると、その分だけ利益が減ることになります。

選択肢5. 端数価格には、買物客に安さを感じさせる心理的効果はない。

端数価格には、買物客に安さを感じさせる心理的効果があります

まとめ

【補足】

価格弾力性の高い商品カテゴリーとしては、いわゆる「買回品」「高級品」に分類されるような比較的価格が高い商品カテゴリーを指します。

 

逆に、「最寄品」に分類される日用品は、もともと価格が低いこともあり、値下げをしても販売量が余り増えないとされています。

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