中小企業診断士の過去問
令和4年度(2022年)
経営法務 問4

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 令和4年度(2022年) 問4 (訂正依頼・報告はこちら)

株式会社と合同会社の比較に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 株式会社及び合同会社のいずれも、会社成立後の出資に際して、資本金を増やさずに出資による資金調達を行うことはできない。
  • 株式会社においては法人は取締役となることはできないが、合同会社においては法人が業務執行社員になることができる。
  • 株式会社の株主は1名でもよいが、合同会社の社員は2名以上でなければならない。
  • 株式会社の株主は有限責任であるが、合同会社の社員は無限責任である。

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この過去問の解説 (3件)

01

株式会社においては法人は取締役となることはできないが、合同会社においては法人が業務執行社員になることができる。が正解の選択肢となります。

選択肢1. 株式会社及び合同会社のいずれも、会社成立後の出資に際して、資本金を増やさずに出資による資金調達を行うことはできない。

株式会社の場合は、会社成立後に出資を行った場合、少なくとも出資額の半分は資本金が増加します(残り半分は、資本準備金として計上)。一方、合同会社の場合は、出資額のうちいくらを資本金額とするか、または出資額を全額資本金として計上しないことも自由に決めることができます。以上から、合同会社では資本金を増やさずに出資による資金調達を行うことができます

選択肢2. 株式会社においては法人は取締役となることはできないが、合同会社においては法人が業務執行社員になることができる。

正解の選択肢となります。

選択肢3. 株式会社の株主は1名でもよいが、合同会社の社員は2名以上でなければならない。

合同会社の社員も、1名以上で構いません。

選択肢4. 株式会社の株主は有限責任であるが、合同会社の社員は無限責任である。

合同会社は、有限責任社員のみで構成されます。

まとめ

参考までに、合同会社は持分会社と呼ばれており、他に合名会社と合資会社があります。このうち、合資会社は無限責任社員と有限責任社員で構成され、合名会社は無限責任社員のみで構成されます。

試験対策上、持分会社で問われる内容は専ら合同会社の要件のみと判断して差し支えないと思われます。理由としては、合同会社が株式会社にもっとも近い性質のためです。合資会社と合名会社が今後一切出題されることはないとは言い切れませんが、合同会社はマスト、合資会社と合名会社は余力があれば、という優先順位で良いでしょう。

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02

株式会社と合同会社の資金調達、役員等への選任、株主と社員について問われています。

合同会社とは持分会社の1つです。

各選択肢をそれぞれ解説します。

選択肢1. 株式会社及び合同会社のいずれも、会社成立後の出資に際して、資本金を増やさずに出資による資金調達を行うことはできない。

株式会社の資金調達方法の一つに保有している自己株式の売却があります。

自己株式の売却益を資金として用いるので、資本金を増やさずに出資による資金調達が可能となります。

合同会社にはそもそも出資を受けた額のうち、資本金として計上する額に制限はありません

株式会社及び合同会社のいずれも、会社成立に資本金を増やさずに出資による資金調達が可能であるため、本選択肢は不正解です。

選択肢2. 株式会社においては法人は取締役となることはできないが、合同会社においては法人が業務執行社員になることができる。

会社法において法人が株式会社の取締役となることはできないと規定されています

取締役はそもそも株主総会の信任を受けて選任されているにもかかわらず、法人の意思によって実際に業務を執行する人が変更される恐れがあるためとされています。

一方、合同会社では法人でも業務執行役員になることができるとされているため、本選択肢が正解です。

選択肢3. 株式会社の株主は1名でもよいが、合同会社の社員は2名以上でなければならない。

株式会社の株主は1名でもよく、合同会社の社員も1名でもよいため、本選択肢は不正解です。

選択肢4. 株式会社の株主は有限責任であるが、合同会社の社員は無限責任である。

株式会社の株主も、合同会社の社員も有限責任であるため、本選択肢は不正解です。

まとめ

合同会社は知名度は株式会社と比較するとまだ大きいとは言えませんが、株式会社よりも設立が容易な点、所有と経営の一致による迅速な意思決定が可能な点、決算公告の義務がないことなどのメリットがあるため法人を設立するときに選択されることが多くなってきています。

今後も論点となるため学習しておきましょう。

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03

正解は2です。

選択肢1. 株式会社及び合同会社のいずれも、会社成立後の出資に際して、資本金を増やさずに出資による資金調達を行うことはできない。

会社法では、株式会社において、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額を資本金の額とすると定められています。

そのため、会社設立後の出資では、資本金の額が増加します。

合同会社においては、会社計算規則で、当該社員が履行した出資により持分会社に対し払込み又は給付がされた財産(当該財産がロに規定する財産に該当する場合における当該財産を除く。)の価額は、資本金の額が増加すると定められていますが、出資の履行の一部の額を資本剰余金の額の増加とすることができます。

選択肢2. 株式会社においては法人は取締役となることはできないが、合同会社においては法人が業務執行社員になることができる。

会社法では、取締役となることができない資格が挙げられており、その中に法人が含まれています。

また、合同会社に関しては、会社法で、「法人が業務を執行する社員である場合には、当該法人は、当該業務を執行する社員の職務を行うべき者を選任し、その者の氏名及び住所を他の社員に通知しなければならない。」と定められており、法人が業務執行社員となることはできるが、その業務を執行する社員を選任する必要があります。

選択肢3. 株式会社の株主は1名でもよいが、合同会社の社員は2名以上でなければならない。

株式会社の株主は、発行した株式を取得する人のことで、最低1人以上必要となります。

合同会社の社員は、設立にあたり出資した人のことですが、1人で出資することも可能ですので、合同会社の社員は1名から成立します。

選択肢4. 株式会社の株主は有限責任であるが、合同会社の社員は無限責任である。

株式会社の株主、合同会社の社員ともに有限責任です。

なお、合名会社の社員は無限責任です。

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