中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
経済学・経済政策 問14

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経済学・経済政策 令和5年度(2023年) 問14 (訂正依頼・報告はこちら)

国債に関する下記の設問に答えよ。
政府の国債発行に関する理論についての記述として、最も適切なものはどれか。
  • 課税平準化の理論によれば、課税による超過負担を最小化する観点から、異時点間の税収の変動を抑えるように年々の国債発行額を決定するのが望ましい。
  • 貨幣数量説が成立する古典派経済学の枠組みでは、国債発行を伴う財政政策は、金利の低下を通じて民間投資を促進する効果を持つ。
  • ケインズ経済学の枠組みでは、流動性のわなが存在する状況下での国債発行を伴う財政政策は、金利の上昇を引き起こすために無効となる。
  • 国債の中立命題によれば、ある時点での国債発行は、家計に将来時点での増税を予期させるために、マクロ経済に与える効果は中立的となる。

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この過去問の解説 (2件)

01

国債発行の理論についての問題です。

各選択肢をそれぞれ解説します。

選択肢1. 課税平準化の理論によれば、課税による超過負担を最小化する観点から、異時点間の税収の変動を抑えるように年々の国債発行額を決定するのが望ましい。

課税平準化理論を噛み砕くと、今年と来年の間での税収の変動を抑えて平準化するために、今年と来年にはどのくらいの国債を発行するのかを決定する理論ということです。

課税平準化理論の内容として正しいため、本選択肢が正解です。

選択肢2. 貨幣数量説が成立する古典派経済学の枠組みでは、国債発行を伴う財政政策は、金利の低下を通じて民間投資を促進する効果を持つ。

貨幣数量説とは、貨幣供給量と物価は比例するので、中央銀行が貨幣供給量を増加させても物価が比例して上昇するだけで、民間投資の促進はできず景気には影響を与えないということです。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢3. ケインズ経済学の枠組みでは、流動性のわなが存在する状況下での国債発行を伴う財政政策は、金利の上昇を引き起こすために無効となる。

ケインズの流動性のわなの状況下では、利子率が下限に達しているため、財政政策を行なっても利子率は上昇しないので、財政拡大政策は景気対策として強い効果を持つことになります。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢4. 国債の中立命題によれば、ある時点での国債発行は、家計に将来時点での増税を予期させるために、マクロ経済に与える効果は中立的となる。

本選択肢のマクロ経済を「国全体における消費や貯蓄に与える影響」と解釈すると、国債の発行は影響を与えることになるので、本選択肢は不正解です。

まとめ

本問は応用問題であり難易度が非常に高いこともあり、復習する必要性は低いと言えます。

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02

課税平準化の理論に基づくと、政府は異なる時点での税収の変動を最小化する観点から、年々の国債発行額を決定すべきです。この理論によれば、超過な課税負担を避け、経済の安定性を保つために、税収の変動を抑えることが望ましいとされています。

選択肢1. 課税平準化の理論によれば、課税による超過負担を最小化する観点から、異時点間の税収の変動を抑えるように年々の国債発行額を決定するのが望ましい。

正解です。

選択肢2. 貨幣数量説が成立する古典派経済学の枠組みでは、国債発行を伴う財政政策は、金利の低下を通じて民間投資を促進する効果を持つ。

誤りです。貨幣数量説が成立する古典派経済学の観点から国債発行の効果を説明しています。古典派経済学では、国債発行が金利の低下を通じて民間投資を促進するとされていますが、この理論は現代の経済状況においては必ずしも成り立たないと考えられます。現代では金融政策や市場の複雑性が高まっており、単純に金利の低下が投資を促進するとは限りません。

選択肢3. ケインズ経済学の枠組みでは、流動性のわなが存在する状況下での国債発行を伴う財政政策は、金利の上昇を引き起こすために無効となる。

誤りです。ケインズ経済学の枠組みからの説明で、流動性のわなが存在する状況下での国債発行の効果に関して述べています。しかし、この主張は全ての状況に一般的に適用されるものではなく、特定の経済状況においてのみ成り立つ可能性があります。

選択肢4. 国債の中立命題によれば、ある時点での国債発行は、家計に将来時点での増税を予期させるために、マクロ経済に与える効果は中立的となる。

誤りです。国債の中立命題に基づくもので、ある時点での国債発行が将来の増税を予期させるため、その効果は中立的であるとされています。しかし、これも一般的な状況に必ずしも当てはまらないため、選択肢としては不適切です。

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