中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
経済学・経済政策 問15

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経済学・経済政策 令和5年度(2023年) 問15 (訂正依頼・報告はこちら)

下図において、ある農産物に対する需要曲線Dの下で、垂直な供給曲線S0が収穫量の増加(Q0→Q1)に伴ってS1にシフトした結果、市場価格はP0からP1に下落した。このときの状況に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

a  この農産物の生産者は、価格の変化に対して供給量を調整することができない。
b  この農産物の供給量が増加したことで、消費者余剰は減少する。
c  供給の価格弾力性は無限大である。
d  需要の価格弾力性(絶対値)が1より小さいと、供給量の増加は生産者の収入を減少させる。
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  • a:正  b:正  c:正  d:誤
  • a:正  b:誤  c:正  d:誤
  • a:正  b:誤  c:誤  d:正
  • a:誤  b:正  c:誤  d:正
  • a:誤  b:誤  c:誤  d:正

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この過去問の解説 (2件)

01

市場均衡に関する問題ですが、本問では供給曲線が垂直となっているため供給の価格弾力性はゼロとなっている点がポイントです。

各選択肢をそれぞれ解説します。

a

供給曲線が垂直となっているので、価格が変化しても供給量は変化しません

つまり農作物の生産者は、価格の変化に対して供給量を調整することができないということになるため、本選択肢は正しいです。

b

供給量が増加すると市場価格はP0からP1に下落するので、消費者余剰は増加します

この点はグラフからだけではなく、起きる現象のイメージでも理解できるかと思います。

そのため本選択肢は誤っています。

c

供給の価格弾力性とは、価格が変化した場合に供給量がどれくらい変化するのかを表したものです。

供給曲線が垂直であるため、価格が変化しても供給量は変化しません

つまり、供給の価格弾力性はゼロとなるため、本選択肢は誤っています。

d

需要の価格弾力性とは、価格が変化した場合に需要量がどれくらい変化するかを表しています。

需要の価格弾力性(絶対値)が1より小さい場合は、価格への変化率よりも需要量の変化の方が小さいことになります

言い換えると、供給量が増加して価格が低下してもあまり需要量は増加しません。

その結果、生産者の収入を減少するため、本選択肢は正しいです。

正しい選択肢の組み合わせは、 a:正 b:誤 c:誤 d:正 です。

選択肢1. a:正  b:正  c:正  d:誤

本選択肢は不正解です。

選択肢2. a:正  b:誤  c:正  d:誤

本選択肢は不正解です。

選択肢3. a:正  b:誤  c:誤  d:正

本選択肢が正解です。

選択肢4. a:誤  b:正  c:誤  d:正

本選択肢は不正解です。

選択肢5. a:誤  b:誤  c:誤  d:正

本選択肢は不正解です。

まとめ

市場均衡は出題されることが多いのですが、本問は難易度が高めの問題でした。

回答したり学習する際は、グラフを書き加えたり、線を動かすなど手を動かして取り組むようにしましょう。

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02

それぞれの記述の正誤を確認します。

a. この農産物の生産者は、価格の変化に対して供給量を調整することができない。

正解です。供給曲線S0からS1へのシフトは、収穫量の増加に伴う供給量の変動であり、生産者が価格変動に応じて供給量を調整していることを示しています。

b. この農産物の供給量が増加したことで、消費者余剰は減少する。

誤りです。供給量の増加により価格が下落しており、これによって消費者余剰は通常増加する傾向があります。

c. 供給の価格弾力性は無限大である。

誤りです。供給曲線S0からS1へのシフトは、あくまで特定の収穫量における価格弾力性の変化を示しており、供給全体の価格弾力性が無限大であるとは言えません。

d. 需要の価格弾力性(絶対値)が1より小さいと、供給量の増加は生産者の収入を減少させる。

正解です。価格弾力性が1より小さいと、需要が価格変動に対して不変またはそれに近くなり、供給量の増加が価格下落に繋がり、生産者の収入を減少させる可能性があります。

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