問題
8/12
当社は、得意先との間で、25,000円の商品Bと35,000円の商品Cを販売する契約を締結した。合計の代金60,000円は、商品Bと商品Cの両方を引き渡した後に請求することになっている。また、商品Bと商品Cの引き渡しは、それぞれ独立した履行義務である。商品Bについては、契約を締結した後、直ちに得意先に引き渡した。
8/25
商品Cを得意先に引き渡した。当社は、商品Bと商品Cの代金に対する請求書を送付する予定である。
契約資産は将来の契約に基づく未収入を表し、売掛金は既に提供された商品やサービスに対する未回収の収益を表します。分かりやすく表現すると、売掛金はすでに履行義務を終えているため、支払期日の到来等により時間が立てば必ずお金が手に入れられるものに対し、契約資産はそうでないものをすべて指します。
問題では、25,000円の商品Bと35,000円の商品Cを両方引渡した後に請求、となっているので、商品Bのみ得意先に引渡した8月12日の時点では、商品Bの25,000円分を売掛金としてまだ計上できません。
一方で商品Bは8月12日時点で得意先に引渡しているため、売上としては計上する必要があります。
従い、商品Bの売上を計上する8月12日時点では一旦、売上分を契約資産として計上しておき、履行義務を果たした8月25日時点で、すでに計上済の契約資産と、残る商品Cの引き渡し分を合わせた60,000円を売掛金に計上します。
正解です。
誤りです。契約負債は買い手側の債務に係る勘定のため、今回の仕訳には関係がありません。
誤りです。8月12日の時点で、まだ得意先に引渡していない商品Cも含めて売り上げてしまっています。
誤りです。契約負債は買い手側の債務に係る勘定のため、今回の仕訳には関係がありません。
契約資産の問題が出題される背景には、新収益認識基準が2021年4月から強制適用されたことに関係する、いわゆる財務会計分野のトレンド(国際会計基準(IFRS)への準拠)と言えます。今後も出題の可能性は十分あると考えられるため、十分に予習をしておくとよいでしょう。
収益認識について詳細を問う問題です。
まず、収益認識の定義を確認します。
顧客から対価を受け取る前又は対価を受け取る期限が到来する前に、財又はサービスを 顧客に移転した場合は、収益を認識し、契約資産又は顧客との契約から生じた債権を貸借 対照表に計上する。
次に契約資産について確認します。
「契約資産」とは、企業が顧客に移転した財又はサービスと交換に受け取る対価に対す る企業の権利(ただし、顧客との契約から生じた債権を除く。)をいう。
最後に顧客に請求を行う権利の定義を確認します。
「顧客との契約から生じた債権」とは、企業が顧客に移転した財又はサービスと交換に 受け取る対価に対する企業の権利のうち無条件のもの(すなわち、対価に対する法的な請求権)をいう。
各定義をふまえて本問の取引を整理すると、商品Bと商品Cの両方を引き渡すまでは、商品の売上債権は「契約資産」として処理します。
両方の引渡しが完了した後に、「契約資産」を「顧客との契約から生じた債権」であるを「売掛金」として処理することになります。
仕訳を行うと以下のようになります。
借方 | 貸方 | |||
8/12 | 契約資産 | 25,000 | 売上 | 25,000 |
8/12時点では商品Bの引き渡ししか行っていないため、契約資産として計上します。
借方 | 貸方 | |||
8/25 | 売掛金 | 60,000 | 契約資産 | 25,000 |
売上 | 35,000 |
8/25に商品Cを引き渡して、商品Bと商品Cの引渡しが完了したことになります。
商品Cの売上を計上し、商品Bの契約資産を売掛金として処理する計上をします。
正解をまとめると以下のようになります。
借方 | 貸方 | |||
8/12 | 契約資産 | 25,000 | 売上 | 25,000 |
8/25 | 売掛金 | 60,000 | 契約資産 | 25,000 |
売上 | 35,000 |
本選択肢が正解です。
本選択肢は不正解です。
本選択肢は不正解です。
本選択肢は不正解です。
収益認識について問題文の条件を意識しながら回答する必要がある問題でした。