中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
企業経営理論 問8
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和5年度(2023年) 問8 (訂正依頼・報告はこちら)
新事業や新市場の創出に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- E. リースの「リーン・スタートアップ」理論に基づけば、不確実性が非常に高い事業の場合、成功要因の把握は非常に難しいため、多額の調査費を投入して潜在的な需要を把握し、時間をかけて綿密な計画を立てる必要がある。
- G.A. ムーアの「キャズム」理論に基づけば、イノベーターとアーリー・アドプターはテクノロジーに対する姿勢は共通するが、実用性志向の程度が異なり、その相違によって新市場の拡大において越えることが最も難しい大きな溝(キャズム)が生み出されている。
- S.D. サラスバシーの「エフェクチュエーション」理論に基づけば、熟達した起業家は、事前に市場を明確に定義して、セグメンテーションやターゲティング、ポジショニングを設定することによって、不確実性の高い状況でも新事業を創出することができる。
- W. チャン・キムとR.A. モボルニュの「ブルーオーシャン戦略」に基づけば、顧客価値を高める差別化の要素を持つことと、コストを押し下げることを併せ持つことが、新市場の創出に重要である。
- 他社に先駆けてデファクト・スタンダードを獲得することは新事業における競争優位につながるため、デファクト・スタンダードの決定に重要な役割を果たすISOのような国際的な標準化機関との間で調整や協議を進める必要がある。
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この過去問の解説 (3件)
01
新事業や新市場の創出に関する問題です。
不確実性が非常に高い事業の場合、多額の調査費を投入して潜在的な需要を把握し、時間をかけて綿密な計画を立てたとしても、上手くいくとは限りません。
また、リーン・スタートアップは「ビジネスを小さく始める(結果、失敗してもダメージが小さくて済む)」ことであるため、理論と説明とは矛盾しています。
キャズムが生み出されているのは、イノベーターとアーリー・アドプターとの間ではありません。
エフェクチュエーション理論とは、事前に市場を明確に定義して、セグメンテーションやターゲティング、ポジショニングを設定することではありません。
正解の選択肢となります。
デファクト・スタンダードの決定に重要な役割を果たすのは、ISOのような国際的な標準化機関ではありません。
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02
新事業や新市場の創出に関する問題です。
不適切です。
リーン・スタートアップとは、できるだけ費用を抑えて製品を作り、顧客の反応を見てビジネスモデルを作ります。
不適切です。
キャズムは、アーリー・アドプターとアーリー・マジョリティの間にある大きな溝のことです。
不適切です。
エフェクチュエーションとは、これまでの優れた起業家の中で共通する考え方などを体系化したものです。
適切です。
不適切です。
デファクト・スタンダードとは、ISOのような国際的な標準化機関で設定された基準ではなく、その業界の中で自然とできた基準のことです。
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03
新事業や新市場の創出についての知識を問う問題です。
各選択肢をそれぞれ解説します。
「リーン・スタートアップ」理論では、顧客に提供する価値を最低限満たしながら、最小限のコストで開発できる「実用最小限の製品」を市場に投入して、反応を見ることを重要視しています。
選択肢のように、多額の調査費を投入して潜在的な需要を把握し、時間をかけて綿密な計画を立てるというのは合致しません。
そのため本選択肢は不正解です。
キャズムが存在するのは、アーリー・アドプターとアーリー・マジョリティの間であるため、本選択肢は不正解です。
「エフェクチュエーション」理論とは、不確実性が高い状況では正確な未来予測は困難であるため、最終的な目標や計画を作るよりも、手元にあるリソースで何ができるのかを考えて、日常的に起きる出来事の中から事業を発展させる機会を見つけることとされています。
選択肢の内容はそぐわないため、本選択肢は不正解です。
「ブルーオーシャン戦略」についての説明として適切だるため、本選択肢が正解です。
ISOのような国際的な標準化機関が決定する規格は、デジュール・スタンダードです。
デファクト・スタンダードとは市場での競争の結果、決定される規格を指します。
そのため本選択肢は不正解です。
各理論の名前が出てきていますが、正誤を判断しやすい選択肢から消去法で正解を絞り込んでいけば対処できる問題でした。
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