中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
企業経営理論 問24

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和5年度(2023年) 問24 (訂正依頼・報告はこちら)

賃金又は退職金に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 従業員の業務実績に応じて、一定比率を賃金とする出来高払制度によって賃金計算をする労働契約を締結している場合には、使用者は、労働時間に応じた一定額の賃金保障をする必要がなくなる。
  • 使用者は、最低賃金法による最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならず、同法には、この最低賃金支払義務に違反した者に対して罰金に処する旨の規定が設けられている。
  • 懲戒解雇の場合には、使用者は、労働基準法の規定により退職金として、懲戒解雇等の理由がない場合に支払われるべき額の6割を支払わなければならない。
  • 労働基準法により賃金は毎月一回以上一定の期日を定めて支払うこととされているため、従業員が疾病治療の費用に充てるために既往の労働に対する賃金を請求した場合であっても、使用者は、あらかじめ定めた支払期日前に当該賃金を支払わなくてよい。

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この過去問の解説 (3件)

01

賃金又は退職金に関する問題です。

選択肢1. 従業員の業務実績に応じて、一定比率を賃金とする出来高払制度によって賃金計算をする労働契約を締結している場合には、使用者は、労働時間に応じた一定額の賃金保障をする必要がなくなる。

出来高払制度によって賃金計算をする労働契約を締結している場合でも、使用者は労働時間に応じた一定額の賃金保障をする必要があります

選択肢2. 使用者は、最低賃金法による最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならず、同法には、この最低賃金支払義務に違反した者に対して罰金に処する旨の規定が設けられている。

正解の選択肢となります。

なお、最低賃金支払義務に違反した場合、使用者は最低賃金支払義務を満たしていない期間の不足分賃金を、過去に遡って労働者に支払わなければいけません。

同時に、その事業所における賃金額は、最低賃金法で保証されている賃金額が強制的に適用されます。(最低賃金法で保証されている賃金額と同額になります)

選択肢3. 懲戒解雇の場合には、使用者は、労働基準法の規定により退職金として、懲戒解雇等の理由がない場合に支払われるべき額の6割を支払わなければならない。

労働基準法の規定に、退職金の支払い義務は定められていません。(「支払わなければならない」わけではない)

選択肢4. 労働基準法により賃金は毎月一回以上一定の期日を定めて支払うこととされているため、従業員が疾病治療の費用に充てるために既往の労働に対する賃金を請求した場合であっても、使用者は、あらかじめ定めた支払期日前に当該賃金を支払わなくてよい。

従業員が疾病治療の費用に充てるために既往の労働に対する賃金を請求した場合、使用者は、あらかじめ定めた支払期日前に当該賃金を支払う必要があります

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02

賃金又は退職金について、労働基準法や最低賃金法からの知識などを問う問題です。

各選択肢をそれぞれ解説します。

選択肢1. 従業員の業務実績に応じて、一定比率を賃金とする出来高払制度によって賃金計算をする労働契約を締結している場合には、使用者は、労働時間に応じた一定額の賃金保障をする必要がなくなる。

労働時間に応じ一定額の賃金を保証することが、労働基準法第27条により義務付けられています。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢2. 使用者は、最低賃金法による最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならず、同法には、この最低賃金支払義務に違反した者に対して罰金に処する旨の規定が設けられている。

最低賃金法に選択肢のような規定が設けられています。

補足として、労使が合意して最低賃金より低い賃金で合意しても、それは法律によって無効とされて、使用者はその賃金と最低賃金の差額を支払わなければなりません

本選択肢が正解です。

選択肢3. 懲戒解雇の場合には、使用者は、労働基準法の規定により退職金として、懲戒解雇等の理由がない場合に支払われるべき額の6割を支払わなければならない。

選択肢のような定めはありません。

懲戒解雇の場合に退職金を減額や不支給とすることには合理性が認められもします。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢4. 労働基準法により賃金は毎月一回以上一定の期日を定めて支払うこととされているため、従業員が疾病治療の費用に充てるために既往の労働に対する賃金を請求した場合であっても、使用者は、あらかじめ定めた支払期日前に当該賃金を支払わなくてよい。

従業員が疾病治療の費用に充てるために既往の労働に対する賃金を請求した場合は、労働基準法第25条に定められている賃金の非常時払いに該当します。

非常時に該当するものは次のものが定められています。

出産・疾病・災害・結婚・死亡・やむを得ない事由により1週間以上帰郷する場合です

そのため本選択肢は不正解です。

まとめ

賃金などに関する問題も例年出題されていますが、細かい論点を問う問題が多い傾向にあります。

他の問題や科目とのバランスを見ながら可能な範囲で対策しておきましょう。

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03

賃金又は退職金に関する問題です。

選択肢1. 従業員の業務実績に応じて、一定比率を賃金とする出来高払制度によって賃金計算をする労働契約を締結している場合には、使用者は、労働時間に応じた一定額の賃金保障をする必要がなくなる。

不適切です。

出来高払制度であっても、賃金保障は必要です。

選択肢2. 使用者は、最低賃金法による最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならず、同法には、この最低賃金支払義務に違反した者に対して罰金に処する旨の規定が設けられている。

適切です。

選択肢3. 懲戒解雇の場合には、使用者は、労働基準法の規定により退職金として、懲戒解雇等の理由がない場合に支払われるべき額の6割を支払わなければならない。

不適切です。

懲戒解雇の場合、退職金を支払わなければならないとは定められていません。

選択肢4. 労働基準法により賃金は毎月一回以上一定の期日を定めて支払うこととされているため、従業員が疾病治療の費用に充てるために既往の労働に対する賃金を請求した場合であっても、使用者は、あらかじめ定めた支払期日前に当該賃金を支払わなくてよい。

不適切です。

従業員が疾病治療の費用に充てるために既往の労働に対する賃金を請求した場合、使用者は、あらかじめ定めた支払期日前に当該賃金を支払う必要があります。

参考になった数2