中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
経営法務 問20
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 令和5年度(2023年) 問20 (訂正依頼・報告はこちら)
以下は、中小企業診断士であるあなたと、X株式会社の代表取締役甲氏との会話である。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。なお、甲氏には、長男、次男、長女の3人の子ども(いずれも嫡出子)がいる。
甲氏 :「そろそろ後継者に会社を任せようと思っています。私には3人の子供がいるのですが、次男に自社の株式や事業用の資産を集中して承継させたく、生前贈与等を考えています。」
あなた:「原則として、ご自身の財産をどのように処分するのも自由ですが、民法は、遺族の生活の安定や最低限度の相続人間の平等を確保するために、一定の相続人のために法律上必ず留保されなければならない遺産の一定割合を定めております。この制度を( )といい、生前贈与や遺言の内容によっては、株式や事業用資産を承継したご次男が、他の相続人の( )を侵害したとして、その侵害額に相当する金銭の支払を請求される可能性があります。場合によっては、承継した株式や事業用資産を売却せざるをえない事態もありえますので、注意が必要です。」
甲氏 :「将来もめずにうまく会社を引き継ぐ方法はないですか。」
あなた:「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律、いわゆる経営承継円滑化法に、民法の特例が設けられています。先代経営者から後継者に贈与等された自社株式について、一定の要件を満たしていることを条件に、( )の算定の基礎となる相続財産から除外するなどの取り決めが可能です。これにより、後継者が確実に自社株式を承継することができます。必要があれば、知り合いの弁護士を紹介します。」
会話の中の空欄に入る用語として、最も適切なものはどれか。
甲氏 :「そろそろ後継者に会社を任せようと思っています。私には3人の子供がいるのですが、次男に自社の株式や事業用の資産を集中して承継させたく、生前贈与等を考えています。」
あなた:「原則として、ご自身の財産をどのように処分するのも自由ですが、民法は、遺族の生活の安定や最低限度の相続人間の平等を確保するために、一定の相続人のために法律上必ず留保されなければならない遺産の一定割合を定めております。この制度を( )といい、生前贈与や遺言の内容によっては、株式や事業用資産を承継したご次男が、他の相続人の( )を侵害したとして、その侵害額に相当する金銭の支払を請求される可能性があります。場合によっては、承継した株式や事業用資産を売却せざるをえない事態もありえますので、注意が必要です。」
甲氏 :「将来もめずにうまく会社を引き継ぐ方法はないですか。」
あなた:「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律、いわゆる経営承継円滑化法に、民法の特例が設けられています。先代経営者から後継者に贈与等された自社株式について、一定の要件を満たしていることを条件に、( )の算定の基礎となる相続財産から除外するなどの取り決めが可能です。これにより、後継者が確実に自社株式を承継することができます。必要があれば、知り合いの弁護士を紹介します。」
会話の中の空欄に入る用語として、最も適切なものはどれか。
- 遺留分
- 寄与分
- 指定相続分
- 法定相続分
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この過去問の解説 (2件)
01
正解は、「遺留分」です。
【基礎知識】
相続の基本です。配偶者は必ず相続対象となります。他の相続の対象は第3順位まであり、優先順位の高い人がいない場合のみ、次の順位に相続権が移ります。よって、相続は配偶者+第〇順位という形になります。それぞれに相続する配分も決まっています。
◇原則の相続→法定相続分
・相続人の種類・順位は?
配偶者 → 常に相続人
内縁の妻・夫 → 相続人にならない
子供(嫡出子) → 第1順位
子供(非嫡出子) → 認知されていれば第1順位
直系尊属 → 第2順位
兄弟姉妹 → 第3順位
※上位の順位がいれば、その下位順位には相続はありません。
相続の割合も決まっており、
配偶者+第1順位の場合 配偶者:1/2、第1順位の全員分:1/2
配偶者+第2順位の場合 配偶者:2/3、第2順位全員分:1/3
配偶者+第3順位の場合 配偶者:3/4、第3順位全員分:1/4
となります。
配偶者がいない場合は、上位の順位のみに上記の割合が相続されます。
例えば、子供3人のみの場合→第1順位であるため、1/2を3人が相続します。
◇遺留分
例えば遺言等で特定の人に遺産を相続するなどで、残された人が生活できなくなるといった事態を避けるため、相続人に一定の割合で相続する権利を決めています。これを遺留分と言います。
直系尊属のみが相続人の場合は、相続財産の1/3、それ以外は相続財産の1/2が遺留分となります。そして、第3順位の兄弟姉妹は遺留分がありません。
基本的に、配偶者もしくは第1~3順位の人のうち、配偶者だけ、第1順位だけといった場合は、法定の相続割合分が遺留分となります。配偶者+第1~3順位の場合は、法定の相続割合分の半分が遺留分となります。
(1)配偶者のみが相続人の場合 2分の1
(2)子のみが相続人の場合 2分の1
(3)直系尊属のみが相続人の場合 3分の1
(4)兄弟姉妹のみが相続人の場合 遺留分なし
(5)配偶者と子が相続人の場合 配偶者が4分の1、子が4分の1
(6)配偶者と父母が相続人の場合 配偶者が3分の1、父母が6分の1
(7)配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合 配偶者が2分の1、兄弟姉妹は遺留分なし
正しい。記載の通りです。
誤り。被相続人の財産増加や維持など特別な貢献をした場合、その寄与に応じた相続の増加を認める制度です。被相続人の療養看護なども含まれます。
誤り。指定相続分とは遺言によって指定した相続分を言います。
誤り。法定相続分とは、原則の相続分になります。
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02
民法の相続に関する問題です。
「必ず留保されなければならない遺産の一定割合」という記述から、瞬時に正解の用語が出てこなければならない頻出論点であり、必ず正解しなければなりません。
正解の選択肢となります。
不適切な選択肢です。
不適切な選択肢です。
不適切な選択肢です。
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