中小企業診断士の過去問
令和5年度 再試験(2023年)
財務・会計 問5

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 財務・会計 令和5年度 再試験(2023年) 問5 (訂正依頼・報告はこちら)

固定資産の減損に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 減損処理を行った資産であっても、収益性が回復した場合には帳簿価額を増額させる。
  • 減損処理を行った資産については、減損損失を控除した帳簿価額に基づき減価償却を行う。
  • 減損損失を認識すべきであると判定された対象資産については、帳簿価額を再調達価額まで減額し、当該減少額を減損損失とする。
  • 対象資産から得られる割引前将来キャッシュ・フローが負である場合に、減損損失を認識する。

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この過去問の解説 (1件)

01

この問題は、固定資産の減損処理に関する適切な知識を問うものです。固定資産の減損とは、資産の価値が大幅に下落した場合に、その帳簿価額を適正な価値まで引き下げる会計処理です。減損処理後の資産の取り扱いや、減損損失の認識基準について正しく理解することが求められます。

選択肢1. 減損処理を行った資産であっても、収益性が回復した場合には帳簿価額を増額させる。

誤りです。減損処理を行った資産の帳簿価額は、将来的に収益性が回復したとしても、再び増額させることはできません。減損処理は、資産価値の恒久的な低下を前提として行われるため、減損処理後に帳簿価額を回復させることは認められていません。

選択肢2. 減損処理を行った資産については、減損損失を控除した帳簿価額に基づき減価償却を行う。

正しいです。減損処理を行った場合、その資産の帳簿価額は減損損失を控除した後の価額となります。その後の減価償却は、この減少した帳簿価額を基準として計算されます。したがって、減損後は控除後の帳簿価額を基に償却を行います。

選択肢3. 減損損失を認識すべきであると判定された対象資産については、帳簿価額を再調達価額まで減額し、当該減少額を減損損失とする。

誤りです。減損損失を認識する場合、帳簿価額は再調達価額ではなく、回収可能価額まで減額されます。回収可能価額とは、資産の将来キャッシュ・フローの割引価額または公正価値(処分可能価額)のいずれか高い方を指します。再調達価額は新しい資産を調達する際の費用であり、減損の基準とは異なります。

選択肢4. 対象資産から得られる割引前将来キャッシュ・フローが負である場合に、減損損失を認識する。

誤りです。減損損失を認識する際には、対象資産から得られる割引前の将来キャッシュ・フローが負であることではなく、帳簿価額が回収可能価額を上回っているかどうかが重要です。キャッシュ・フローが負であるかどうかにかかわらず、帳簿価額が資産の回収可能価額を超える場合に、減損損失を認識します。

まとめ

減損処理後の減価償却:減損処理後は、減損によって減額された帳簿価額に基づいて減価償却を行います。元の帳簿価額に戻すことはできません。

減損損失の認識基準:資産の帳簿価額が回収可能価額を上回っている場合に減損損失が発生します。回収可能価額は、資産の使用から得られる将来キャッシュ・フローの割引前価値または処分可能価額のいずれか高い方です。

再調達価額:新しい資産を調達する際にかかる費用であり、減損処理には使用されません。

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