中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問54 (企業経営理論 問5)

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問題

中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問54(企業経営理論 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

「業界の構造分析」の枠組みに基づいて考えられる、売り手X業界とその顧客であるY業界との間での交渉力に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • X業界が供給する製品をY業界の企業が他社の競合製品に切り替える際に、その製品の使用方法を初めから学び直す必要がある場合には、その必要がない場合と比べて、X業界に対するY業界の交渉力は高い。
  • X業界の企業が供給する製品と同業他社の競合製品との間での互換性が高い場合には、互換性が低い場合と比べて、X業界に対するY業界の交渉力は低い。
  • Y業界の企業がX業界へ後方統合できる場合には、後方統合が不可能な場合と比べて、Y業界に対するX業界の交渉力は高い。
  • Y業界の企業にとってX業界の製品の強力な代替品が存在する場合には、代替品が存在しない場合と比べて、Y業界に対するX業界の交渉力は高い。
  • Y業界のハーフィンダール指数がゼロに近づくほど、X業界に対するY業界の交渉力は低くなる。

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この過去問の解説 (2件)

01

5フォース分析の売り手の交渉力・買い手の交渉力についての出題です。

売り手から買い手への交渉力の高低、逆に買い手から売り手への交渉力の高低を判断する問題です。

各選択肢をそれぞれ解説します。

選択肢1. X業界が供給する製品をY業界の企業が他社の競合製品に切り替える際に、その製品の使用方法を初めから学び直す必要がある場合には、その必要がない場合と比べて、X業界に対するY業界の交渉力は高い。

使用方法を初めから学び直す必要があるとは、スイッチングコストが高い状態といえます。

その場合は売り手であるX業界の交渉力が高くなります

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢2. X業界の企業が供給する製品と同業他社の競合製品との間での互換性が高い場合には、互換性が低い場合と比べて、X業界に対するY業界の交渉力は低い。

互換性が高い場合は、Y業界は製品の調達先を容易に変更できるため、Y業界の交渉力が高くなります

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢3. Y業界の企業がX業界へ後方統合できる場合には、後方統合が不可能な場合と比べて、Y業界に対するX業界の交渉力は高い。

Y業界が後方統合できるということは、X業界を傘下におさめられることを意味します。

交渉力はY業界の方が高いことになります。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢4. Y業界の企業にとってX業界の製品の強力な代替品が存在する場合には、代替品が存在しない場合と比べて、Y業界に対するX業界の交渉力は高い。

強力な代替品が存在するならば、X業界から調達先を容易に変更できるため、X業界の交渉力は低くなります

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢5. Y業界のハーフィンダール指数がゼロに近づくほど、X業界に対するY業界の交渉力は低くなる。

ハーフィンーダール指数とは企業の集中度、特定の企業が市場を占有していないかを判断する指数です。

ハーフィンーダール指数がゼロに近づくとは、買い手であるY業界の同指数がゼロに近づくほど、買い手が増えていることになるため、Y業界の交渉力は低くなります。

そのため本選択肢が正解です。

まとめ

読み解きにくい選択肢ではありましたが、落ち着いて簡単な図などにまとめると分かりやすくなり、問われている内容は交渉力についての基本的な出題であるため、正解は難しくありませんでした。

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02

ポーターの業界の構造分析(5フォース分析)の、売り手(X業界)の交渉力と買い手(Y業界)の交渉力に関する問題です。

 

前問同様に、売り手もしくは買い手のどちらか判断しやすい立場で正誤判断すればOKです。

選択肢1. X業界が供給する製品をY業界の企業が他社の競合製品に切り替える際に、その製品の使用方法を初めから学び直す必要がある場合には、その必要がない場合と比べて、X業界に対するY業界の交渉力は高い。

Y業界の企業からすると、他社の競合製品に切り替える際に、その製品の使用方法を初めから学び直す必要があるため、学び直す必要がない場合と比べてX業界に対するY業界の交渉力は低くなり不適切な選択肢です。

選択肢2. X業界の企業が供給する製品と同業他社の競合製品との間での互換性が高い場合には、互換性が低い場合と比べて、X業界に対するY業界の交渉力は低い。

X業界の企業が供給する製品と同業他社の競合製品との間での互換性が高い場合ため、互換性が低い場合と比べてX業界に対するY業界の交渉力は高くなり不適切な選択肢です。

選択肢3. Y業界の企業がX業界へ後方統合できる場合には、後方統合が不可能な場合と比べて、Y業界に対するX業界の交渉力は高い。

後方統合とは、企業が自社の供給元や原材料生産者などを買収・統合し、原材料の調達から製品の製造までのプロセスを自社内で完結させることです。

 

Y業界の企業がX業界へ後方統合できるということは、X業界はY業界に「取り込まれる」ことになるためY業界に対するX業界の交渉力は低くなり不適切な選択肢です。

選択肢4. Y業界の企業にとってX業界の製品の強力な代替品が存在する場合には、代替品が存在しない場合と比べて、Y業界に対するX業界の交渉力は高い。

代替品が存在するため、代替品が存在しない場合と比べてY業界に対するX業界の交渉力は低くなり不適切な選択肢です。

選択肢5. Y業界のハーフィンダール指数がゼロに近づくほど、X業界に対するY業界の交渉力は低くなる。

ハーフィンダール指数がゼロに近づく」とは、限りなく完全競争市場に近いということです。

 

完全競争市場では製品による差別化よりも価格で判断されるため、X業界に対するY業界の交渉力は低くなり正解の選択肢です。

まとめ

【補足】

 

ハーフィンダール指数とは、市場の独占度合いを測る指標です。市場内の全ての企業シェアを2乗して足し合わせ、その数値が大きいほど市場の独占度合いは強くなります。

 

究極的には市場内に1社しかいない完全独占状態で(100%)=10,000となり、ハーフィンダール指数の最大値となります。

 

本問の選択肢で問われている完全競争市場とは、多くの企業がシェアを奪い合う状況であり、ハーフィンダール指数は小さくなります。

たとえば、市場に10社あり、全ての企業が10%ずつしかシェアを持っていなければ、(10%)2+(10%)2+(10%)2・・・となるためハーフィンダール指数は1,000となります。

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