中小企業診断士の過去問
令和5年度 再試験(2023年)
企業経営理論 問17

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和5年度 再試験(2023年) 問17 (訂正依頼・報告はこちら)

企業の長期的成長のためには、既存事業の深化(exploitation)と新規事業の探索(exploration)のバランスを取る経営が重要だといわれている。C. A.オライリーとM. L.タッシュマンは、深化と探索を両立する両利き(ambidexterity)の経営を提唱している。
両利きの経営を実践するための組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットとの間のシナジー(相乗効果)を生み出すためには、新規事業探索ユニットを別会社化してスピンオフすることが必要である。
  • 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離しても、既存事業ユニットが資源配分の意思決定について新規事業探索ユニットに介入できるような仕組みを採用することが推奨される。
  • 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離しても、公平性の確保のために人材の採用やインセンティブ付与については同じ意思決定ルールや社内手続きを適用すべきである。
  • 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離するとともに、全社的な統合を促進する包括的ビジョンを掲げることが望ましい。
  • 新規事業探索ユニットと既存事業ユニットとの間のシナジー(相乗効果)は、新規事業探索ユニットが既存事業ユニットの技術や知識などを活用できることからのみ生じる。

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この過去問の解説 (1件)

01

現代のビジネスの環境は変化が速いため、両利きの経営が重要であると説かれています。

各選択肢をそれぞれ解説します。

選択肢1. 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットとの間のシナジー(相乗効果)を生み出すためには、新規事業探索ユニットを別会社化してスピンオフすることが必要である。

別会社化することは必須ではありません。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢2. 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離しても、既存事業ユニットが資源配分の意思決定について新規事業探索ユニットに介入できるような仕組みを採用することが推奨される。

既存事業ユニットの介入により、新規事業探索が進まなくなる恐れがあります。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢3. 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離しても、公平性の確保のために人材の採用やインセンティブ付与については同じ意思決定ルールや社内手続きを適用すべきである。

評価制度や人材発掘も既存とは別の考え方や仕組みで運用するべきです。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢4. 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離するとともに、全社的な統合を促進する包括的ビジョンを掲げることが望ましい。

それぞれのユニットの運用として適切です。

そのため本選択肢が正解です。

選択肢5. 新規事業探索ユニットと既存事業ユニットとの間のシナジー(相乗効果)は、新規事業探索ユニットが既存事業ユニットの技術や知識などを活用できることからのみ生じる。

選択肢とは逆に既存事業ユニットが活用することも起こりえます。

そのため本選択肢は不正解です。

まとめ

新規事業の探索とは、新製品開発や新市場開拓などのイノベーションによって新たなビジネスチャンスを模索するものです。

既存事業の深化とは、既存事業の効率性を高めたり、コスト削減を図り既存事業の収益性を高めるものです。

どちらも企業の成長には欠かせない要素だと理解できると思います。

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