中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問66 (企業経営理論 問17)
問題文
企業の長期的成長のためには、既存事業の深化(exploitation)と新規事業の探索(exploration)のバランスを取る経営が重要だといわれている。C. A.オライリーとM. L.タッシュマンは、深化と探索を両立する両利き(ambidexterity)の経営を提唱している。
両利きの経営を実践するための組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。
両利きの経営を実践するための組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。
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問題
中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問66(企業経営理論 問17) (訂正依頼・報告はこちら)
企業の長期的成長のためには、既存事業の深化(exploitation)と新規事業の探索(exploration)のバランスを取る経営が重要だといわれている。C. A.オライリーとM. L.タッシュマンは、深化と探索を両立する両利き(ambidexterity)の経営を提唱している。
両利きの経営を実践するための組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。
両利きの経営を実践するための組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットとの間のシナジー(相乗効果)を生み出すためには、新規事業探索ユニットを別会社化してスピンオフすることが必要である。
- 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離しても、既存事業ユニットが資源配分の意思決定について新規事業探索ユニットに介入できるような仕組みを採用することが推奨される。
- 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離しても、公平性の確保のために人材の採用やインセンティブ付与については同じ意思決定ルールや社内手続きを適用すべきである。
- 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離するとともに、全社的な統合を促進する包括的ビジョンを掲げることが望ましい。
- 新規事業探索ユニットと既存事業ユニットとの間のシナジー(相乗効果)は、新規事業探索ユニットが既存事業ユニットの技術や知識などを活用できることからのみ生じる。
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この過去問の解説 (3件)
01
現代のビジネスの環境は変化が速いため、両利きの経営が重要であると説かれています。
各選択肢をそれぞれ解説します。
別会社化することは必須ではありません。
そのため本選択肢は不正解です。
既存事業ユニットの介入により、新規事業探索が進まなくなる恐れがあります。
そのため本選択肢は不正解です。
評価制度や人材発掘も既存とは別の考え方や仕組みで運用するべきです。
そのため本選択肢は不正解です。
それぞれのユニットの運用として適切です。
そのため本選択肢が正解です。
選択肢とは逆に既存事業ユニットが活用することも起こりえます。
そのため本選択肢は不正解です。
新規事業の探索とは、新製品開発や新市場開拓などのイノベーションによって新たなビジネスチャンスを模索するものです。
既存事業の深化とは、既存事業の効率性を高めたり、コスト削減を図り既存事業の収益性を高めるものです。
どちらも企業の成長には欠かせない要素だと理解できると思います。
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02
両利きの経営を実践するための組織に関する問題です。
企業はともすれば既存事業の深化に注力しがちですが、新規事業の探索もバランス良く行なわなければならず、また、それは可能であるというのが両利きの経営の提唱する内容です。
なお、本問は両利きの経営の内容を知らなくても、各選択肢の記述を読み比べて正答することは可能です。
新規事業探索ユニットを別会社化してスピンオフすることが「必要」とはされておらず、不適切な選択肢です。
スピンオフすることが必要である場合、両利きの経営は難しい(新規事業が既存事業との相性が悪い、同じ会社内でやるよりは別建てにした方が良い)と考えられます。
既存事業ユニットが資源配分の意思決定について新規事業探索ユニットに介入すると、新規事業探索ユニットの自律性が損なわれるため不適切な選択肢です。
資源配分の意思決定に介入するということは「財布の紐を握られる」ということなので、好ましくありません。
既存事業ユニットと新規事業探索ユニットとでは事業の構造が異なるため、人材の採用やインセンティブ付与については同じ意思決定ルールや社内手続きを適用すべきではないため不適切な選択肢です。
例えば、インセンティブ付与については新規事業探索ユニットの方が高めに設定されると思いますが、その基準が既存事業ユニットにそのまま当てはまるわけではありません。
同様に、どのような人材を採用するかについても既存事業と新規事業では異なるはずです。
既存事業ユニットと新規事業探索ユニットも同じ企業内にあるため、全社的な統合を促進する包括的ビジョンを掲げることが望ましく正解の選択肢となります。
「シナジー(相乗効果)」とは、新規事業探索ユニットと既存事業ユニット双方の技術や知識などを活用できることであるため不適切な選択肢です。
新規事業と既存事業でなくても、既存事業(A事業とB事業)同士であっても互いに技術や知識などを活用できればシナジーであり、両利きの経営理論に限ったことではありません。
また、本選択肢では「~のみ生じる」という限定的な表現が用いられていますが、一般的にこのような表現は誤りの選択肢であることが多いです。
【補足】
本科目では時折、有名な書籍からの出題が見られます。近年では、エフェクチュエーション理論からも出題があります。
では、このような書籍を受験勉強と並行しながら読むべきでしょうか?
答えは「否」です。
勉強をしているうちに興味を持った理論に出会うこともあると思いますが、受験勉強を終えて(合格して)からビジネススクールに通うなどすれば、幾らでもこれらの理論を学ぶ機会が得られます。
試験で出題された理論の内容をきちんと理解していないと合格できない、ということではありません。
筆者もビジネススクール修了者ですが、学びの必要性を感じた中小企業診断士の方が何人も入学されていました。
合格するまでは、受験勉強に専念しましょう。
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03
両利きの経営に関する問題です。
既存事業ユニットと新規事業探索ユニットのシナジーを生み出すためにスピンオフは必須ではありません。
そこため、誤った選択肢です。
意思決定に介入することで構造分離した意味が薄れるため、推奨はされません。
そのため、誤った選択肢です。
同じ意思決定ルールを使用することで構造分離した意味が薄れるため、推奨はされません。
そのため、誤った選択肢です。
正しい説明となっています。
そのため、正しい選択肢です。
新規事業探索ユニットの技術や知識を既存事業ユニットがしようすることもあります。
そのため、誤った選択肢です。
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