中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問74 (企業経営理論 問25)

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問題

中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問74(企業経営理論 問25) (訂正依頼・報告はこちら)

プライシングに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ある製品の価格変化が他製品の売上に与える影響の大きさを価格の交差弾力性と呼び、これが低いもの同士が同一市場にあると考える。これにより、企業は、どのサブマーケットをターゲットとするかを判断することも可能である。
  • コーヒーを飲む場合、洒落(しゃれ)たクラブハウスである場合と小さな古ぼけた食堂である場合とを比較すると、同じ価格であれば、後者で飲む場合はずっと高く感じるであろう。このように場所が異なるという状況による価格の感じ方の違いを説明する理論を同化対比理論と呼ぶ。
  • 消費者が、例えば800円という内的参照価格を持っていて、1,000円という価格に遭遇し、200円の損をする実感と、消費者の内的参照価格が1,000円の場合に800円で買える時、すなわち200円の得をする実感を比較する。この場合、損をする方のインパクトの方が大きいと言われているが、これを説明するのがプロスペクト理論である。
  • 新製品が発売された時、すぐに飛びついて買う層、段階的に価格が下がってから買う価格に敏感な層の両者をターゲットにして、利益を拡大するプライシングを第2市場ディスカウンティングと呼ぶ。
  • 製品を組み合わせて、比較的安く販売する方法を価格バンドリングと呼ぶが、この対象として組み合わせる製品は相互に代替財であることが望ましい。一方、ソフトウェアによく見られるが、1つの製品の複数の機能をばらして、複数の独立製品として、合計で元の製品よりも高く売るような方法をアンバンドリングと呼ぶ。

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この過去問の解説 (3件)

01

価格戦略についての知識を問う問題です。

各選択肢をそれぞれ解説します。

選択肢1. ある製品の価格変化が他製品の売上に与える影響の大きさを価格の交差弾力性と呼び、これが低いもの同士が同一市場にあると考える。これにより、企業は、どのサブマーケットをターゲットとするかを判断することも可能である。

価格の交差弾力性が高いもの同士が同一市場にあると考えます。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢2. コーヒーを飲む場合、洒落(しゃれ)たクラブハウスである場合と小さな古ぼけた食堂である場合とを比較すると、同じ価格であれば、後者で飲む場合はずっと高く感じるであろう。このように場所が異なるという状況による価格の感じ方の違いを説明する理論を同化対比理論と呼ぶ。

同化対比理論とは、情報や評価をどのように処理して、他者の意見や態度に対してどのように反応するのか説明する理論のことです。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢3. 消費者が、例えば800円という内的参照価格を持っていて、1,000円という価格に遭遇し、200円の損をする実感と、消費者の内的参照価格が1,000円の場合に800円で買える時、すなわち200円の得をする実感を比較する。この場合、損をする方のインパクトの方が大きいと言われているが、これを説明するのがプロスペクト理論である。

プロスペクト理論とは、同じ額の損失をした時の方が、同額の利益よりも心理的な影響は大きいとする理論のことです。

本選択肢が正解です。

選択肢4. 新製品が発売された時、すぐに飛びついて買う層、段階的に価格が下がってから買う価格に敏感な層の両者をターゲットにして、利益を拡大するプライシングを第2市場ディスカウンティングと呼ぶ。

選択肢の内容はスキミングプライスについての説明です。

第2市場ディスカウンティングは、市場を大きく2つに分けて、第2市場では低価格で販売することです。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢5. 製品を組み合わせて、比較的安く販売する方法を価格バンドリングと呼ぶが、この対象として組み合わせる製品は相互に代替財であることが望ましい。一方、ソフトウェアによく見られるが、1つの製品の複数の機能をばらして、複数の独立製品として、合計で元の製品よりも高く売るような方法をアンバンドリングと呼ぶ。

組み合わせる製品は補完材であれば、一緒に使われるので望ましいといえます。

そのため本選択肢は不正解です。

まとめ

本問の各選択肢は比較的文章量は多いのですが、製品の価格弾力性やスキミングプライス、価格バンドリングなど正誤の判断が容易なものもあり、正答するのは決して難しくはない問題でした。

参考になった数17

02

プライシングに関する問題です。

 

本問は、同化対比理論や第2市場ディスカウンティングといった過去問題では馴染みのない用語や、経済学・経済政策の論点で問われる内容が含まれており難易度は高めです。

 

※各選択肢で復習しておくべき論点を挙げていますので、優先的に時間を割いて復習してください。

選択肢1. ある製品の価格変化が他製品の売上に与える影響の大きさを価格の交差弾力性と呼び、これが低いもの同士が同一市場にあると考える。これにより、企業は、どのサブマーケットをターゲットとするかを判断することも可能である。

企業が、どのサブマーケットをターゲットとするかを判断することが可能なのは、交差弾力性が高いもの同士が同一市場にある場合となります。(交差弾力性が高いもの同士が同一市場にあれば、代替関係が強くなり同一市場とみなされやすくなります)

 

交差弾力性が低いもの同士が同一市場にある場合は、独立的な市場とみなされるため不適切な選択肢です。

 

※本選択肢は過去問題でも問われた内容であるため、しっかり復習しておくことをおススメします。

選択肢2. コーヒーを飲む場合、洒落(しゃれ)たクラブハウスである場合と小さな古ぼけた食堂である場合とを比較すると、同じ価格であれば、後者で飲む場合はずっと高く感じるであろう。このように場所が異なるという状況による価格の感じ方の違いを説明する理論を同化対比理論と呼ぶ。

本選択肢は、「価格知覚」「参照価格理論」の内容となるため不適切な選択肢です。

 

同化対比理論とは、比較対象との違いによって、その差がどのように認識されるかを説明する理論です。

 

本選択肢では価格が比較されていますが、いつも高い買い物をしている人が比較的安い商品を見ると、その商品の価格をより安く感じます。(いつも安い買い物をしている人は、その逆になります)

 

※価格知覚や参照価格理論は過去問題でも問われた内容であるため、しっかり復習しておくことをおススメします。

選択肢3. 消費者が、例えば800円という内的参照価格を持っていて、1,000円という価格に遭遇し、200円の損をする実感と、消費者の内的参照価格が1,000円の場合に800円で買える時、すなわち200円の得をする実感を比較する。この場合、損をする方のインパクトの方が大きいと言われているが、これを説明するのがプロスペクト理論である。

本選択肢のとおり、内的参照価格と実際の価格との差において、損をする方のインパクトが大きいことをプロスペクト理論で説明できるため正解の選択肢となります。

 

内的参照価格とは、簡単に言えば「消費者自身が心の中に持っている、その商品に対するイメージ価格のこと」です。 

 

最近の物価高により、自販機の飲み物が120円くらいだろう(内的参照価格)とイメージしている人が160円~180円くらいに値上がりしている現状に直面すると、損をする方のインパクトが大きくなることはご理解いただけると思います。

選択肢4. 新製品が発売された時、すぐに飛びついて買う層、段階的に価格が下がってから買う価格に敏感な層の両者をターゲットにして、利益を拡大するプライシングを第2市場ディスカウンティングと呼ぶ。

第2市場ディスカウンティングとは、社会人と学生、日本国内と海外など、第1市場と第2市場を意図的に設けて価格に敏感な消費者に対して割引販売する手法です。

 

したがって、両者をターゲットにして利益を拡大するプライシングを第2市場ディスカウンティングと呼ぶのではないため不適切な選択肢です。

 

※本選択肢は、優先順位は低めで結構です。

選択肢5. 製品を組み合わせて、比較的安く販売する方法を価格バンドリングと呼ぶが、この対象として組み合わせる製品は相互に代替財であることが望ましい。一方、ソフトウェアによく見られるが、1つの製品の複数の機能をばらして、複数の独立製品として、合計で元の製品よりも高く売るような方法をアンバンドリングと呼ぶ。

価格バンドリングの対象として組み合わせる製品は、相互に補完関係または無関係な製品であることが望ましいため不適切な選択肢です。

価格バンドリングの対象として代替財を組み合わせると、カニバリゼーション=共食いが起こるので好ましくありません)

 

※本選択肢は、過去問題でも問われた内容であるため、しっかり復習しておくことをおススメします。

 

まとめ

【補足】

 

代替財や補完財という用語は、経済学・経済政策で問われる論点です。

・代替財→コーヒーと紅茶など、価格の変動が需要に影響し合う関係になる。

・補完財→コーヒーと砂糖など、一緒に利用することで効用を高め合う関係になる。

 

最近の例では、コメとコメ以外の食品(パンやシリアルなど)は代替材になります。コメが値上がりして、コメの消費量を減らす傾向にあるためです。

コメと補完関係にあるのは、コメと一緒に食べる漬物、煮物などのおかず、味噌汁などです。

参考になった数2

03

プライシングとは、製品やサービスの価格を決めることです。

選択肢1. ある製品の価格変化が他製品の売上に与える影響の大きさを価格の交差弾力性と呼び、これが低いもの同士が同一市場にあると考える。これにより、企業は、どのサブマーケットをターゲットとするかを判断することも可能である。

企業が、どのサブマーケットをターゲットとするかを判断することが可能なのは、価格の交差弾力性が高いもの同士が同一市場にある場合です。

そのため、誤った選択肢です。

選択肢2. コーヒーを飲む場合、洒落(しゃれ)たクラブハウスである場合と小さな古ぼけた食堂である場合とを比較すると、同じ価格であれば、後者で飲む場合はずっと高く感じるであろう。このように場所が異なるという状況による価格の感じ方の違いを説明する理論を同化対比理論と呼ぶ。

同化対比理論とは、参照価格と実売価格の差が小さい場合、実際の差よりも小さく知覚し、差が大きい場合、実際の差よりも大きく知覚することである。

そのため、誤った選択肢です。

選択肢3. 消費者が、例えば800円という内的参照価格を持っていて、1,000円という価格に遭遇し、200円の損をする実感と、消費者の内的参照価格が1,000円の場合に800円で買える時、すなわち200円の得をする実感を比較する。この場合、損をする方のインパクトの方が大きいと言われているが、これを説明するのがプロスペクト理論である。

プロスペクト理論に関する説明となっています。

そのため、正しい選択肢です。

選択肢4. 新製品が発売された時、すぐに飛びついて買う層、段階的に価格が下がってから買う価格に敏感な層の両者をターゲットにして、利益を拡大するプライシングを第2市場ディスカウンティングと呼ぶ。

第2市場ディスカウンティングとは、主たる市場と全く異なる条件の市場での価格を低く設定するプライシングのことです。

そのため、誤った選択肢です。

選択肢5. 製品を組み合わせて、比較的安く販売する方法を価格バンドリングと呼ぶが、この対象として組み合わせる製品は相互に代替財であることが望ましい。一方、ソフトウェアによく見られるが、1つの製品の複数の機能をばらして、複数の独立製品として、合計で元の製品よりも高く売るような方法をアンバンドリングと呼ぶ。

価格バンドリングでは、組み合わせる製品は相互に代替財でないことが望ましいです。

そのため、誤った選択肢です。

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