中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問186 (中小企業経営・中小企業政策 問13(2))

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問題

中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問186(中小企業経営・中小企業政策 問13(2)) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

中小企業庁「中小企業白書2022年版」では、(株)帝国データバンク「企業概要データベース」を用いて、経営者の特性を分析している。
それに基づいて①中小企業の経営者年齢の構成比を見ると、大企業とは異なっている。また、②中小企業における経営者の就任経緯を業種別に見ると、業種による差異が見られる。

文中の下線部②について、業種別に、経営者の就任経緯を「創業者」と「同族継承」で見た場合、「創業者」の割合が、「同族継承」の割合を下回っている業種として、最も適切なものはどれか。
  • 運輸・通信業
  • 建設業
  • サービス業
  • 製造業
  • 不動産業

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この過去問の解説 (3件)

01

中小企業庁「中小企業白書2022年版」によると、中小企業の経営者の就任経緯は業種によって異なります。

特に、「創業者」と「同族継承」の割合は、業種ごとに傾向が異なります。

 

「創業者」の割合が「同族継承」の割合を下回る業種とは、同族による事業承継が比較的多い業種を指します。

製造業や建設業などは、代々の経営が続きやすいため、同族継承の割合が高くなる傾向があります。

一方、サービス業や不動産業は、新規創業が比較的多いため、創業者の割合が高くなる傾向があります。

 

各業種の傾向

運輸・通信業:比較的事業承継が多いが、創業者も一定数いる。

建設業:家業として継承されるケースが多く、同族継承の割合が高い。「創業者」の割合が30.8%、「同族継承」の割合が52.5%

サービス業:個人で新規創業するケースが多いため、創業者の割合が高い。「創業者」の割合が50.2%、「同族継承」の割合が30.1%

製造業:歴史のある企業が多く、同族継承の割合が高い。​「創業者」の割合が23.7%、「同族継承」の割合が56.9%

不動産業:資産を継承するケースが多く、創業者よりも同族継承が多い。「創業者」の割合が35.5%、「同族継承」の割合が45.0%

 

正答

製造業
→ 製造業は、歴史のある企業が多く、同族継承の割合が創業者よりも高い業種に該当します。

 

選択肢1. 運輸・通信業

【誤】

選択肢2. 建設業

【誤】

選択肢3. サービス業

【誤】

選択肢4. 製造業

【正】

選択肢5. 不動産業

【誤】

参考になった数1

02

中小企業白書2022年版によると、中小企業の経営者の就任経緯はほとんどの業種で「創業者」が最も多いが、製造業では「同族継承」の割合が高くなっています。

 

製造業 創業者:23.7% 同族継承:56.9%

 

製造業は他の業種と比較し、事業承継がしやすい特徴があります。

参考になった数0

03

(株)帝国データバンク「企業概要データベース」より、経営者の就任経緯を「創業者」と「同族継承」で見た場合の比較を問う問題です。

 

本問は、2022年度版中小企業白書 第2-2-102図「業種別に見た、経営者の就任経緯(中小企業と大企業)」(Ⅱ-187ページ)からの出題です。

 

第2-2-102図はグラフが2つありますが、「中小企業における経営者の就任経緯」という問題要求であるため、本問では第2-2-102図内の大企業のグラフは使用しません。また、創業者は青、同族継承は橙の横棒グラフで示されています。

各選択肢で挙げられている業種において、「創業者」と「同族継承」の割合を比較します。

運輸・通信業:創業者46.3%>同族継承25.9%

・建設業:創業者46.5%>同族継承39.3%

・サービス業:創業者52.1%>同族継承24.2%

・製造業:創業者23.7%<同族継承56.9%

・不動産業:創業者44.8%>同族継承35.0%

 

以上から、経営者の就任経緯を「創業者」と「同族継承」で見た場合、「創業者」の割合が「同族継承」の割合を下回っている業種は製造業となります。

選択肢1. 運輸・通信業

経営者の就任経緯を「創業者」と「同族継承」で見た場合、「創業者」の割合が「同族継承」の割合を下回っている業種は製造業となるため不適切な選択肢です。

選択肢2. 建設業

経営者の就任経緯を「創業者」と「同族継承」で見た場合、「創業者」の割合が「同族継承」の割合を下回っている業種は製造業となるため不適切な選択肢です。

選択肢3. サービス業

経営者の就任経緯を「創業者」と「同族継承」で見た場合、「創業者」の割合が「同族継承」の割合を下回っている業種は製造業となるため不適切な選択肢です。

選択肢4. 製造業

経営者の就任経緯を「創業者」と「同族継承」で見た場合、「創業者」の割合が「同族継承」の割合を下回っている業種は製造業となるため正解の選択肢となります。

選択肢5. 不動産業

経営者の就任経緯を「創業者」と「同族継承」で見た場合、「創業者」の割合が「同族継承」の割合を下回っている業種は製造業となるため不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

フランチャイズ展開されている業界では、創業者の割合が高くなると考えられます。

 

本問で挙げられている5つの業種では、運輸・通信業(宅配事業や携帯電話ショップなど)、建設業(ハウスメーカーなど)、サービス業(学習塾、ハウスクリーニングなど)、不動産業(アパマンショップなどの仲介業)はフランチャイズ展開の例がみられますが、製造業におけるフランチャイズ展開は思いつきません。

 

フランチャイズ展開の特徴としてノウハウやブランドの信用をお金で買うことができることがあり、加盟金やロイヤルティを支払うことで業界未経験でもすぐに参入できますが、製造業に従事する職人の技能(1ミリ単位で調整できる感覚など)をお金で買うことはできないため、業界未経験者(社)が参入することが難しい(=創業者の割合が低くなる)と考えられます。

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