中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問190 (中小企業経営・中小企業政策 問15(2))

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問題

中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問190(中小企業経営・中小企業政策 問15(2)) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

中小企業は、わが国経済の活力の源泉となる重要な存在である。中小企業基本法は、中小企業に関する施策について、その基本理念・基本方針などを定めるとともに、国及び地方公共団体の責務などを規定している。

この法律には、小規模企業者の範囲が定められている。小規模企業者の範囲に含まれる企業として、最も適切なものはどれか。
  • 資本金300万円で、常時使用する従業員の数が10人の宿泊業
  • 資本金500万円で、常時使用する従業員の数が8人の酒類卸売業
  • 資本金1,000万円で、常時使用する従業員の数が18人の生菓子製造業
  • 常時使用する従業員の数が12人の店舗兼工場を営む個人営業のパン製造小売業

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この過去問の解説 (3件)

01

小規模企業者の定義(中小企業基本法)

中小企業基本法では、中小企業の中でも特に規模の小さい企業を「小規模企業者」と定義しています。

ポイント:

①資本金の要件はない。

②業種ごとに異なる従業員数の上限を満たしているかが重要。

業種常時使用する従業員数
製造業・建設業・運輸業等20人以下
卸売業・サービス業・小売業・飲食業等5人以下

資本金300万円で、常時使用する従業員の数が10人の宿泊業

宿泊業は「サービス業」に分類される。

サービス業の小規模企業者の基準は「従業員5人以下」。

従業員10人 → 基準超過 → 誤り

 

資本金500万円で、常時使用する従業員の数が8人の酒類卸売業

卸売業は「従業員5人以下」が小規模企業者の基準。

従業員8人 → 基準超過 → 誤り

 

資本金1,000万円で、常時使用する従業員の数が18人の生菓子製造業

生菓子製造業は「製造業」に分類される。

製造業の小規模企業者の基準は「従業員20人以下」。

従業員18人 → 基準内 → 正しい

 

常時使用する従業員の数が12人の店舗兼工場を営む個人営業のパン製造小売業

小売業の小規模企業者の基準は「従業員5人以下」。

従業員12人 → 基準超過 → 誤り

選択肢1. 資本金300万円で、常時使用する従業員の数が10人の宿泊業

【誤】

選択肢2. 資本金500万円で、常時使用する従業員の数が8人の酒類卸売業

【誤】

選択肢3. 資本金1,000万円で、常時使用する従業員の数が18人の生菓子製造業

【正】

選択肢4. 常時使用する従業員の数が12人の店舗兼工場を営む個人営業のパン製造小売業

【誤】

参考になった数1

02

中小企業基本法では、この法律において「小規模企業者」とは、おおむね常時使用する従業員の数が二十人(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者については、五人)以下の事業者をいう、と定められています。

選択肢1. 資本金300万円で、常時使用する従業員の数が10人の宿泊業

不適切です。

宿泊業はサービス業に該当しますので、従業員が5人を超える場合は小規模企業者に該当しません。

選択肢2. 資本金500万円で、常時使用する従業員の数が8人の酒類卸売業

不適切です。

酒類卸売業は「商業」に該当しますので、従業員が5人を超える場合は小規模企業者に該当しません。

選択肢3. 資本金1,000万円で、常時使用する従業員の数が18人の生菓子製造業

適切です。

製造業は20人以下で小規模企業者ですので、該当します。

選択肢4. 常時使用する従業員の数が12人の店舗兼工場を営む個人営業のパン製造小売業

不適切です。

小売業は「商業」に該当しますので、従業員が5人を超える場合は小規模企業者に該当しません。

参考になった数0

03

中小企業基本法に定める、小規模企業者の範囲を問う問題です。

 

以下の図にあるように、小規模企業者の業種分類は製造業その他」「商業・サービス業」の2つに区分され、従業員基準を満たせば小規模企業者となります。

(出所:中小企業庁「小規模企業者の定義」)https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html

 

以上から、本問の選択肢で記述されている資本金は一切考慮する必要がないため、解説では省略します。

(資本金はダミーデータになりますが、小規模企業者の範囲を問う問題では当たり前のように記述されているので、惑わされて時間を浪費しないように注意してください)

選択肢1. 資本金300万円で、常時使用する従業員の数が10人の宿泊業

宿泊業は「商業・サービス業」に区分されます。冒頭の解説より、商業・サービス業では従業員5人以下が小規模企業者となるため不適切な選択肢です。

選択肢2. 資本金500万円で、常時使用する従業員の数が8人の酒類卸売業

酒類卸売業は「商業・サービス業」に区分されます。冒頭の解説より、商業・サービス業では従業員5人以下が小規模企業者となるため不適切な選択肢です。

選択肢3. 資本金1,000万円で、常時使用する従業員の数が18人の生菓子製造業

生菓子製造業は製造業その他」に区分されます。冒頭の解説より、製造業その他では従業員20人以下が小規模企業者となるため正解の選択肢となります。

選択肢4. 常時使用する従業員の数が12人の店舗兼工場を営む個人営業のパン製造小売業

パン製造小売業は「商業・サービス業」に区分されます。冒頭の解説より、商業・サービス業では従業員5人以下が小規模企業者となるため不適切な選択肢です。

 

本選択肢の「工場」は、工場を兼ねる店舗で販売するパンを製造するための工場と考えられます。(工場を兼ねる店舗とは異なる販売先に納品するのではない) 店舗兼厨房と考えると分かりやすいですが、「小売業」と明記されていることから「商業・サービス業」と判断するのが妥当です。

 

また、「個人営業」とありますが中小企業者の定義には個人も含まれます。(前問の「中小企業者の定義」をご確認ください。本問の「小規模企業者の定義」とリンク先は同じです)

まとめ

【補足】

 

前問の中小企業者の業種分類同様に、「商業・サービス業」に該当しない業種が製造業その他に該当すると判断することになります。

 

本問はパン製造小売業が判断しづらい設定になっていますが、選択肢で述べている解説のように判断できなかったとしても、従業員18人の生菓子製造業の選択肢が明らかに正しいため、小規模企業者の定義が理解できていれば対応可能な内容です。

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