中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問66 (企業経営理論 問16)

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問題

中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問66(企業経営理論 問16) (訂正依頼・報告はこちら)

複雑な意思決定において、意思決定者は完全な合理性を追求できるだけの情報処理能力を持たないとされる。このような「制約された合理性」の下での意思決定に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
  • 意思決定者は、意思決定に際して利用可能な全ての代替案のうち、限られた数の代替案のみを考慮する。
  • 意思決定者は、代替案が満たすべき最低限の水準を設定し、その水準を満たす代替案を見つけた時点で、その代替案を選択するとともに代替案の探索を終了する意思決定原理に従う。
  • 各代替案によって将来的に引き起こされる結果に関する知識は、不完全で部分的なものとなる。
  • 各代替案によって将来的に引き起こされる全ての結果に対して、それらを最も好ましいものから最も好ましくないものまで順位づける一貫した効用関数を、意思決定者はあらかじめ持つ。
  • 反復的な意思決定を行う状況では、意思決定者は行動プログラムのレパートリーを作り、それらを代替案の集合として意思決定に利用する。

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この過去問の解説 (2件)

01

「制約された合理性」に関する問題です。

 

本問では、最も「不適切」なものを選択させる設定になっていることに注意してください。

 

「制約された合理性」とは、人間の認知能力には限界があり、完全な合理性を持つことはできないことを示した概念です。つまり、人間は全知全能の存在ではなく、その時点で知り得た知識や情報をもとに実行可能な範囲でしか行動できないということです。

選択肢1. 意思決定者は、意思決定に際して利用可能な全ての代替案のうち、限られた数の代替案のみを考慮する。

意思決定者は、意思決定に際して利用可能な全ての代替案のうち、限られた数の代替案のみを考慮することは、「制約された合理性」の説明として適切です。

 

したがって、本問では不適切な選択肢です。

選択肢2. 意思決定者は、代替案が満たすべき最低限の水準を設定し、その水準を満たす代替案を見つけた時点で、その代替案を選択するとともに代替案の探索を終了する意思決定原理に従う。

意思決定者は、代替案が満たすべき最低限の水準を設定し、その水準を満たす代替案を見つけた時点で、その代替案を選択するとともに代替案の探索を終了する意思決定原理に従うことは、「制約された合理性」の説明として適切です。

 

したがって、本問では不適切な選択肢です。

選択肢3. 各代替案によって将来的に引き起こされる結果に関する知識は、不完全で部分的なものとなる。

各代替案によって将来的に引き起こされる結果に関する知識は、不完全で部分的なものとなることは、「制約された合理性」の説明として適切です。

 

したがって、本問では不適切な選択肢です。

選択肢4. 各代替案によって将来的に引き起こされる全ての結果に対して、それらを最も好ましいものから最も好ましくないものまで順位づける一貫した効用関数を、意思決定者はあらかじめ持つ。

各代替案によって将来的に引き起こされる全ての結果に対して、それらを最も好ましいものから最も好ましくないものまで順位づける一貫した効用関数を、意思決定者はあらかじめ持っているわけではありません

 

「制約された合理性」の説明には当てはまらないため、本問では正解の選択肢となります。

選択肢5. 反復的な意思決定を行う状況では、意思決定者は行動プログラムのレパートリーを作り、それらを代替案の集合として意思決定に利用する。

反復的な意思決定を行う状況では、意思決定者は行動プログラムのレパートリーを作り、それらを代替案の集合として意思決定に利用することは、「制約された合理性」の説明として適切です。

 

したがって、本問では不適切な選択肢です。

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02

制約された合理性とは、意思決定者はどんなに合理的な行動を取ろうとしても、様々な要因によって阻害され100%合理的な行動はできないということです。

選択肢1. 意思決定者は、意思決定に際して利用可能な全ての代替案のうち、限られた数の代替案のみを考慮する。

限られた数の代替案のみを考慮して行った意思決定は100%合理的であるとはいえないので、制約された合理性の下での意思決定です。

そのため、誤った選択肢です。

選択肢2. 意思決定者は、代替案が満たすべき最低限の水準を設定し、その水準を満たす代替案を見つけた時点で、その代替案を選択するとともに代替案の探索を終了する意思決定原理に従う。

全ての代替案を考慮せずに行った意思決定は100%合理的であるとはいえないので、制約された合理性の下での意思決定です。

そのため、誤った選択肢です。

選択肢3. 各代替案によって将来的に引き起こされる結果に関する知識は、不完全で部分的なものとなる。

各代替案に対する知識が不完全な状態での意思決定は100%合理的であるとはいえないので、制約された合理性の下での意思決定です。

そのため、誤った選択肢です。

選択肢4. 各代替案によって将来的に引き起こされる全ての結果に対して、それらを最も好ましいものから最も好ましくないものまで順位づける一貫した効用関数を、意思決定者はあらかじめ持つ。

各代替案の結果を全て加味した意思決定は100%合理的であるので、制約された合理性の下での意思決定ではありません。

そのため、正しい選択肢です。

選択肢5. 反復的な意思決定を行う状況では、意思決定者は行動プログラムのレパートリーを作り、それらを代替案の集合として意思決定に利用する。

行動プログラムのレパートリーからの意思決定はプログラム外の要因を加味しておらず100%合理的であるとはいえないので、制約された合理性の下での意思決定です。

そのため、誤った選択肢です。

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