中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問199 (中小企業経営・中小企業政策 問10(2))

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問題

中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問199(中小企業経営・中小企業政策 問10(2)) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

厚生労働省「雇用保険事業年報」に基づき、1981年度から2021年度の期間について、わが国の開業率と廃業率の推移を見る。開業率は1988年度以降1998年度まで( A )傾向で推移し、2000年代を通じて、増減はあるものの、緩やかな( B )傾向で推移、2018年度に( C )している。廃業率は1996年度以降上昇傾向が続いたが、2010年度以降は低下傾向で推移している。
もっとも、開業・廃業の動向は業種によっても異なる。2021年度における小売業、情報通信業、製造業の開業率と廃業率を見ると、開業率は( D )が最も高く、( E )が最も低い。廃業率は( F )が最も低い。
なお、開業率は当該年度に雇用関係が新規に成立した事業所数を前年度末の適用事業所数で除して算出する。廃業率は当該年度に雇用関係が消滅した事業所数を前年度末の適用事業所数で除して算出する。適用事業所とは、雇用保険に係る労働保険の保険関係が成立している事業所である(雇用保険法第5条)。

文中の空欄D~Fに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
  • D:小売業  E:情報通信業  F:小売業
  • D:小売業  E:製造業  F:製造業
  • D:情報通信業  E:小売業  F:小売業
  • D:情報通信業  E:製造業  F:製造業
  • D:製造業  E:小売業  F:情報通信業

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、小売業、情報通信業、製造業の3業種における開業率と廃業率の比較に関する知識を問うものです。業種ごとの参入障壁や市場環境の違いが開業率・廃業率にどのように影響するかを理解することは、中小企業の経営環境を分析する上で重要なポイントです。2021年度という特定の年度におけるデータを問う問題なので、白書等で示されている基本的な統計データを把握しているかが問われています。

選択肢1. D:小売業  E:情報通信業  F:小売業

この選択肢は誤りです。中小企業白書2023によれば、2021年度において開業率が最も高いのは小売業ではなく情報通信業です。また、情報通信業は3業種の中で開業率が最も高く、製造業が最も低いため、Eに情報通信業が入るのは不適切です。さらに、廃業率が最も低いのは小売業ではなく製造業です。よって、D、E、Fすべてが不適切な組み合わせとなっています。

選択肢2. D:小売業  E:製造業  F:製造業

この選択肢は誤りです。開業率が最も高いのは小売業ではなく情報通信業です。DXの推進やリモートワークの普及などを背景に、2021年度は情報通信業の開業率が他業種を上回っていました。E、Fについては正しく製造業が入っていますが、Dが不適切なため、この選択肢は正解ではありません。

選択肢3. D:情報通信業  E:小売業  F:小売業

この選択肢は誤りです。開業率が最も高いのは情報通信業であり、Dの記述は正しいですが、開業率が最も低いのは小売業ではなく製造業です。また、廃業率が最も低いのも小売業ではなく製造業です。よって、E、Fともに不適切な記述となっています。

選択肢4. D:情報通信業  E:製造業  F:製造業

この選択肢は正しいです。中小企業白書2023によれば、2021年度において開業率が最も高いのは情報通信業、最も低いのは製造業です。また、廃業率が最も低いのも製造業です。これは製造業が設備投資など参入コストが高く、一度参入すると簡単には撤退できないという特性を反映しています。一方、情報通信業は2021年度においてはDX需要の高まりを背景に開業率が高くなっていました。

選択肢5. D:製造業  E:小売業  F:情報通信業

この選択肢は誤りです。開業率が最も高いのは製造業ではなく情報通信業です。また、開業率が最も低いのは小売業ではなく製造業です。さらに、廃業率が最も低いのは情報通信業ではなく製造業です。よって、D、E、Fすべてが不適切な組み合わせとなっています。

まとめ

本問の正解は選択肢4です。2021年度において、開業率が最も高いのは情報通信業、最も低いのは製造業、そして廃業率が最も低いのも製造業でした。これは業種ごとの特性を反映したものです。製造業は設備投資など初期コストが高く参入障壁が高いため開業率が低く、また撤退コストも高いため廃業率も低くなります。一方、情報通信業は2021年度においてはコロナ禍でのデジタル化需要の高まりを背景に開業率が高くなっていました。これらの業種別の開廃業動向は、経済構造の変化や社会環境の変化を反映するものとして重要です。

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02

厚生労働省「雇用保険事業年報」から、2021年度における開廃業率を問う問題です。小売業、情報通信業、製造業の3つの業種での比較が問われています。

 

本問の出所は、中小企業白書2023 第2部-第2章-第2節の1「起業・創業の動向」から、第2-2-55図「業種別の開廃業率(2021年度)」(Ⅱ-189ページ)となっています。

 

以下に選択肢の絞り込み方法を述べていますが、第2-2-55図が頭に入っていなければ2択→1択への絞り込みが難しい内容となっています。

 

一般的に、設備投資の負担が小さい業種のほうが開業(参入)も廃業(撤退)もしやすいことはイメージできるかと思います。逆に考えると、設備投資の負担が「大きい」業種は容易に参入も撤退もできないということです。

 

小売業、情報通信業、製造業の中で比較すると、最も設備投資の負担が大きいのは製造業であり、開業率が最も低い(空欄E)、廃業率が最も低い(空欄F)の両方に該当しますが、選択肢は2つまでしか絞り込むことができません。

 

空欄Dについては、2021年度という時代背景から、コロナ禍と人手不足によりDX(デジタルトランスフォーメーション)投資が積極的になっており、情報通信業界への新規参入が増加、経営計画や資金調達計画の甘さから撤退も増加したと理解するのが妥当と思われます。

選択肢1. D:小売業  E:情報通信業  F:小売業

冒頭の解説より、「D:情報通信業、E:製造業、F:製造業」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢2. D:小売業  E:製造業  F:製造業

冒頭の解説より、「D:情報通信業、E:製造業、F:製造業」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢3. D:情報通信業  E:小売業  F:小売業

冒頭の解説より、「D:情報通信業、E:製造業、F:製造業」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢4. D:情報通信業  E:製造業  F:製造業

冒頭の解説より、「D:情報通信業、E:製造業、F:製造業」の組み合わせであるため正解の選択肢となります。

選択肢5. D:製造業  E:小売業  F:情報通信業

冒頭の解説より、「D:情報通信業、E:製造業、F:製造業」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

本問では、一般的に開廃業率がともに高い代名詞的な業界である「飲食業」や「宿泊業」が比較対象に含まれていないことから、難易度が高くなっているといえます。

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