技術士の過去問 平成27年度(2015年) 基礎科目「解析に関するもの」 問17
この過去問の解説 (3件)
壁に固定された棒に荷重を加えた時の変位を求める問題です。
棒が固定されているので、点Aにでは荷重Pに反対方向の力Paがかかります。
また点Bでも同様に荷重Pに反対方向の力Pbがかかります。
力の大きさに関して、次の式が成り立ちます。 P = Pa + Pb…①
力の向きとしては、AB間では引張力となり、BC間では圧縮力となります。
棒は固定されているので棒の長さには変化がありません。
したがって、AB間の引張力による変位δa、BC間の圧縮力による変位δbが、
逆向きであり、なおかつ、釣り合っていると考えられます。
δa - δb = 0…②
δaを求めると次の通りです。
δa = (l/2)Pa / SE1 = lPa / 2SE1
δbを求めると次の通りです。
δb = (l/2)Pb / SE2 = lPb / 2SE2
①からPb = P- Paなので
δb = l(P-Pa) / 2SE2 となります。
②から、lPa / 2SE1 – l(P-Pa) / 2SE2 = 0 なので、
Paについて解くと、Pa = E1lP / (E1l + E2l)
これをδaに代入すると、 δa = Pl / 2S(E1+E2) となるので、3が正解です。
応力とひずみに関する問題です。
点Bの変位は、AB間とBC間の変位の和で表されます。
そのため、各部材の変位を求めます。
応力-ひずみの関係より、
δ = εL, σ = F/A
また、フックの法則より、
σ = Eε → ε = σ/E
上記の式より、δ = FL/AE となります。
この式を用いて、各部材の変位を求めます。
<部材AB>
B点において、力のつり合いより、F=P
長さLは図よりl/2、断面積AはS、ヤング率EはE₁となります。
よって、δ(AB) = P×(l/2) / S×E1 = Pl / 2SE₁
<部材BC>
B点において、F=P
長さLは図よりl/2、断面積AはS、ヤング率EはE₂となります。
よって、δ(BC) = P×(l/2) / S×E2 = Pl / 2SE₂
以上より、
変位δ = δ(AB) + δ(BC)
= Pl / 2SE₁ + Pl / 2SE₂ = Pl / 2S(E₁+E₂)
よって、3が正解です。
材料の変位については、ヤング率を用いた以下の式が成り立ちます。
変位 = (単位面積あたりの力x長さ)/ ヤング率
ここで、棒は両端を剛体壁に挟まれているので、
ABからみたBの変位δ1とかかる力P1は
δ1=(P1/S x l/2)/ E1 = P1l/2SE1
BCからみたBの変位δ2とかかる力P2は
δ2=(P2/S x l/2)/ E2 = P2l/2SE2となります。
δ1とδ2は釣り合っており、なおかつ、逆向きであるので、
δ1-δ2 =0、すなわち、δ1=δ2となり、また、P=P1+P2、すなわち、P2=P-P1となります。
このことから、
P1l/2SE1= P2l/2SE2にP2=P-P1を代入して、
P1l/2SE1 = (P-P1)l/2SE2
これを変形して、
P1 = PE1 / (E1+E2)
これを、δ1= P1l/2SE1 に代入して、
δ1 = PE1l / 2SE1(E1+E2) = Pl / 2S(E1+E2)
よって、正解は、3となります。
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