技術士の過去問
平成27年度(2015年)
適性科目 問42

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問題

技術士 第一次試験 平成27年度(2015年) 適性科目 問42 (訂正依頼・報告はこちら)

知的財産権の一種に、著作権がある。著作権については著作権法が定められている。この法律の目的は、著作物等に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、文化の発展に寄与することである。著作物等の利用を野放しにしてしまっては、著作者等は創作する人格的評価も財産的な対価も得られなくなり、創作意欲をかきたてにくくなる。その一方で、著作者等の権利の保護ばかりを重視すると、利用者は著作物等を利用しにくくなる。いずれの状態であっても、文化の発展にとって好ましいとはいえない。著作権法は文化の発展を目的に置きつつ、著作者等の権利の保護と利用者の公正な利用のあり方について、法的に明らかにしたものである。
公表された学術論文に記載されている内容を引用する際、論文の執筆者に承諾を得ずに引用を行う場合に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  • 著作権者の承諾がある場合を除き、引用は実質的に複製と同じ扱いとなるため、著作権者の承諾を得ることなく引用を行うことは、著作権侵害となる。
  • 目的上正当な範囲内であれば、引用は認められているが、全てを自由に引用できるわけではない。
  • 一般に公表されている論文であれば、自由に引用することができ、複製することも認められている。
  • 引用は認められているが、目的上正当な範囲内かつ研究の目的で行われるものに限られる。
  • 引用する学術論文が外国語論文である場合には、日本語論文の中で引用して利用する場合であっても、元の外国語のまま引用しなければならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

著作物の引用に関する正誤問題です。

1.不適切です
公表された著作物は、引用して利用することができ、著作法の引用の要件を満たしていれば、権利者から承諾を得る必要はありません。
よって誤った記述です。

2.適切です
著作法には、「引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない」とあり、すべてを自由に引用できるわけではありません。

3.不適切です
定められた条件の中でしか、引用や複製を行うことはできません。
よって誤った記述です。

4.不適切です
引用は、「報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内」とあり、研究だけに限らないことから、誤った記述です。

5.不適切です
翻訳して引用することもできることから、誤った記述です。

よって、2が正解です。

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02

正解は2です。
各項目の内容は以下の通りです。

1.誤った記述です。
著作権法第三十二条の通り、引用して利用が出来ます。
ただし、「公正な慣行に合致」し「正当な範囲内」で引用されなければなりません。

2.正しい記述です。
著作権法第二十三条の通り、引用は「目的上正当な範囲内」でのみ、
行われるものでなければなりません。

3.誤った記述です。
引用は著作権第三十二条の要件を満たす必要があり、
複製は著作権第三十条の通り、私的使用のための複製に制限されています。
自由に引用、複製出来るわけではありません。

4.誤った記述です。
引用の目的としては、研究の目的だけでなく、
報道や批評のための引用も認められています。

5.誤った記述です。
引用者が翻訳して引用することが出来ます。

したがって、最も適切なのは2なので、2が正解です。

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03

著作権に関する問題も、最近の技術士試験ではよく出題されます。「著作権法」など関連法律もおさらいして、基本的事項を押さえておきましょう。

1. 著作権法第三十二条に「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」とあります。正当な範囲内であれば、著作権侵害には該当しませんので、この選択肢は不適切です。

2. 1.と同様に、著作権法第三十二条が適用されますが、全てを自由に引用できるわけではないので、この選択肢は適切です。

3. これも1.と同様に著作権法第三十二条の適用を受け、定められた条件の中でしか、引用および複製を行うことはできません。したがって、この選択肢は不適切です。

4. これも、1.と同様に著作権法第三十二条の適用を受けますが、「報道、批評、研究その他の引用の目的条正当な範囲内」とありますので、研究以外の目的での引用も認められていることから、この選択肢は不適切となります。

5. 著作権法第四十七条の六に以下の記載があります。

次の各号に掲げる規定により著作物を利用することができる場合には、当該著作物について、当該規定の例により当該各号に定める方法による利用を行うことができる。

一 第三十条第一項、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十四条第一項、第三十五条第一項又は前条第二項 翻訳、編曲、変形又は翻案

二 第三十一条第一項第一号若しくは第三項後段、第三十二条、第三十六条第一項、第三十七条第一項若しくは第二項、第三十九条第一項、第四十条第二項、第四十一条又は第四十二条 翻訳

三 第三十三条の二第一項、第三十三条の三第一項又は第四十七条 変形又は翻案

四 第三十七条第三項 翻訳、変形又は翻案

五 第三十七条の二 翻訳又は翻案

六 第四十七条の三第一項 翻案

ここで、「引用」を規定した「第三十二条」において、翻訳での利用が認められているため、この選択肢は不適切となります。

以上、正解選択肢は2.です。

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