技術士 過去問
令和5年度(2023年)
問26 (基礎科目「環境・エネルギー・技術に関するもの」 問2)

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問題

技術士 第一次試験 令和5年度(2023年) 問26(基礎科目「環境・エネルギー・技術に関するもの」 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

大気汚染物質に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  • 二酸化硫黄は、硫黄分を含む石炭や石油などの燃焼によって生じ、呼吸器疾患や酸性雨の原因となる。
  • 二酸化窒素は、物質の燃焼時に発生する一酸化窒素が、大気中で酸化されて生成される物質で、呼吸器疾患の原因となる。
  • 一酸化炭素は、有機物の不完全燃焼によって発生し、血液中のヘモグロビンと結合することで酸素運搬機能を阻害する。
  • 光化学オキシダントは、工場や自動車から排出される窒素酸化物や揮発性有機化合物などが、太陽光により光化学反応を起こして生成される酸化性物質の総称である。
  • PM2.5は、粒径10μm以下の浮遊粒子状物質のうち、肺胞に最も付着しやすい粒径2.5μm付近の大きさを有するものである。

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この過去問の解説 (3件)

01

大気汚染物質に関する出題です。だんだん大気はきれいになっているといわれるものの、出題はまだまだ多いです。

 

選択肢1. 二酸化硫黄は、硫黄分を含む石炭や石油などの燃焼によって生じ、呼吸器疾患や酸性雨の原因となる。

二酸化硫黄は、硫黄分を含む石炭や石油などの燃焼によって生じ呼吸器疾患や酸性雨の原因となる。

 

正しい記述です。硫黄酸化物が生じて、水に溶解し硫酸など酸性の物質となって呼吸器疾患原因や酸性雨になります。

選択肢2. 二酸化窒素は、物質の燃焼時に発生する一酸化窒素が、大気中で酸化されて生成される物質で、呼吸器疾患の原因となる。

二酸化窒素は、物質の燃焼時に発生する一酸化窒素が、大気中で酸化されて生成される物質で、呼吸器疾患の原因となる。

 

正しい記述です。一酸化窒素が空気中の酸素とさらに酸化することで生成されます。一酸化窒素も呼吸器疾患の原因になります。

選択肢3. 一酸化炭素は、有機物の不完全燃焼によって発生し、血液中のヘモグロビンと結合することで酸素運搬機能を阻害する。

一酸化炭素は、有機物の不完全燃焼によって発生し、血液中のヘモグロビンと結合することで酸素運搬機能を阻害する。

 

正しい記述です。一酸化炭素が血液中のヘモグロビンと結合すると、酸素の代わりに一酸化炭素がヘムの鉄原子に結合します。そのために酸素が運搬されなくなり呼吸不全を引き起こします。

選択肢4. 光化学オキシダントは、工場や自動車から排出される窒素酸化物や揮発性有機化合物などが、太陽光により光化学反応を起こして生成される酸化性物質の総称である。

光化学オキシダントは、工場や自動車から排出される窒素酸化物や揮発性有機化合物などが、太陽光により光化学反応を起こして生成される酸化性物質の総称である。

 

正しい記述です。工場・事業場や自動車から排出される窒素酸化物やベンゼン、トルエンといった揮発性有機化合物を主体とする一次汚染物質が、太陽光線の照射を受けて化学反応により二次的に生成されるオゾンなどの総称です。

選択肢5. PM2.5は、粒径10μm以下の浮遊粒子状物質のうち、肺胞に最も付着しやすい粒径2.5μm付近の大きさを有するものである。

PM2.5は、粒径10μm以下の浮遊粒子状物質のうち、肺胞に最も付着しやすい粒径2.5μm付近の大きさを有するものである。

 

PM2.5は肺胞に最も付着しやすい2.5μm以下の粒径の浮遊粒子状物質を指しますのでこの記述が誤りです。

まとめ

選択肢については細かい部分の誤りを選ばなければいけませんでしたが、ほかの選択肢が正しいので消去法のほうが解きやすかったかもしれません。

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02

それぞれの大気汚染物質の特徴(発生源・影響・反応)を整理しましょう。


また、他の公害や環境問題の知識とも関連付けて学習すると、より理解が深まります。

選択肢1. 二酸化硫黄は、硫黄分を含む石炭や石油などの燃焼によって生じ、呼吸器疾患や酸性雨の原因となる。

適切です。

二酸化硫黄(SO₂)は、石炭や石油に含まれる硫黄が燃焼することで発生します。

呼吸器系に悪影響を与え、酸性雨の原因にもなります。

選択肢2. 二酸化窒素は、物質の燃焼時に発生する一酸化窒素が、大気中で酸化されて生成される物質で、呼吸器疾患の原因となる。

適切です。

二酸化窒素(NO₂)は、一酸化窒素(NO)が大気中の酸素と反応して生成されます。

呼吸器疾患の原因になるほか、酸性雨や光化学スモッグの要因でもあります。

選択肢3. 一酸化炭素は、有機物の不完全燃焼によって発生し、血液中のヘモグロビンと結合することで酸素運搬機能を阻害する。

適切です。

一酸化炭素(CO)は、燃焼が不完全なときに発生します。

ヘモグロビンと結合し、酸素の運搬を妨げるため、一酸化炭素中毒を引き起こします

選択肢4. 光化学オキシダントは、工場や自動車から排出される窒素酸化物や揮発性有機化合物などが、太陽光により光化学反応を起こして生成される酸化性物質の総称である。

適切です。

光化学オキシダントとは、光化学反応によって生成される酸化性物質の総称です。
代表例として、オゾン(O₃)やペルオキシアセチルナイトレート(PAN)などがあります。

選択肢5. PM2.5は、粒径10μm以下の浮遊粒子状物質のうち、肺胞に最も付着しやすい粒径2.5μm付近の大きさを有するものである。

不適切です。

PM2.5とは、粒径2.5μm以下の浮遊粒子状物質を指します。

記述では「粒径10μm以下の浮遊粒子状物質のうち」とありますが、PM2.5は粒径2.5μm以下のものです。

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03

大気汚染物質に関する基礎知識を問う問題となります。

 

選択肢1. 二酸化硫黄は、硫黄分を含む石炭や石油などの燃焼によって生じ、呼吸器疾患や酸性雨の原因となる。

酸性雨などの原因となります(適切)。

選択肢2. 二酸化窒素は、物質の燃焼時に発生する一酸化窒素が、大気中で酸化されて生成される物質で、呼吸器疾患の原因となる。

呼吸器疾患の原因となります(適切)。

選択肢3. 一酸化炭素は、有機物の不完全燃焼によって発生し、血液中のヘモグロビンと結合することで酸素運搬機能を阻害する。

酸素運搬機能を阻害します(適切)。

選択肢4. 光化学オキシダントは、工場や自動車から排出される窒素酸化物や揮発性有機化合物などが、太陽光により光化学反応を起こして生成される酸化性物質の総称である。

酸化性物質の総称です(適切)。

選択肢5. PM2.5は、粒径10μm以下の浮遊粒子状物質のうち、肺胞に最も付着しやすい粒径2.5μm付近の大きさを有するものである。

粒径の記述が不適切です(本選択肢が正解です)。

まとめ

大気汚染物質の基本問題ともいえ、今後も出題される可能性があります。

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