技術士の過去問
令和5年度(2023年)
基礎科目「環境・エネルギー・技術に関するもの」 問6

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問題

技術士 第一次試験 令和5年度(2023年) 基礎科目「環境・エネルギー・技術に関するもの」 問6 (訂正依頼・報告はこちら)

科学と技術の関わりは多様であり、科学的な発見の刺激により技術的な応用がもたらされることもあれば、革新的な技術が科学的な発見を可能にすることもある。
こうした関係についての次の記述のうち、不適切なものはどれか。
  • 望遠鏡が発明されたのちに土星の環が確認された。
  • 量子力学が誕生したのちにトランジスターが発明された。
  • 電磁波の存在が確認されたのちにレーダーが開発された。
  • 原子核分裂が発見されたのちに原子力発電の利用が始まった。
  • ウイルスが発見されたのちにワクチン接種が始まった。

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この過去問の解説 (2件)

01

科学史に関する出題です。仮に暗記していなくとも広範な科学知識と感覚から導き出すことを求められています。

選択肢1. 望遠鏡が発明されたのちに土星の環が確認された。

望遠鏡が発明されたのちに土星の環が確認された。

正しい記述です。ガリレオが望遠鏡を使って土星の環を確認しました。

選択肢2. 量子力学が誕生したのちにトランジスターが発明された。

量子力学が誕生したのちにトランジスターが発明された。

正しい記述です。トランジスタは1947年にベル研究所で発明されました。量子力学はたとえばアインシュタインが光電効果を説明した奇跡の年1905年に代表されるように20世紀初頭に構築されました。

選択肢3. 電磁波の存在が確認されたのちにレーダーが開発された。

電磁波の存在が確認されたのちにレーダーが開発された。

正しい記述です。1856年にスコットランド生まれのマクスウェルが電磁波が存在することを理論的に導き、1887年ドイツ物理学者であるハインリヒ・ヘルツが実験的に証明しました。その後、1940年にはイギリスで実用的なレーダーシステムが発明されました。

選択肢4. 原子核分裂が発見されたのちに原子力発電の利用が始まった。

原子核分裂が発見されたのちに原子力発電の利用が始まった。

正しい記述です。核分裂はドイツの化学者オットー・ハーンとオーストリア出身の女性物理学者リーゼ・マイトナーが1938年に発見しました。その後フェルミ指揮による原子核分裂の連鎖反応証明の実験の成功、原子力爆弾の開発があって世界最初の原子力エネルギーを使った発電は1951年にアメリカで行われました。

選択肢5. ウイルスが発見されたのちにワクチン接種が始まった。

ウイルスが発見されたのちにワクチン接種が始まった。

誤った記述です。世界最初のワクチンは1790年天然痘でつくられました。ジェンナーは牛痘にかかった人が天然痘に罹患していないことを発見し、天然痘のワクチンを作り上げました。一方ウイルスが初めて発見されたのは1898年、牛の口蹄疫とタバコモザイク病の2つです。ウイルスは電子顕微鏡を使わないとみることができないため、細菌よりも発見が遅れています。

まとめ

理屈から応用ができたのか、偶然の発見からその後理論ができたのか、実験難易度を想像しながら考えるとよいでしょう。

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02

これは基本的な科学の歴史を知っていれば、比較的に簡単です。

不適切なものですので、「ウイルスが発見されたのちにワクチン接種が始まった。」というのは間違いと気づきます。ウイルス発見は、ワクチン接種開始よりかなり後です。

選択肢5. ウイルスが発見されたのちにワクチン接種が始まった。

本選択肢が正解です。

まとめ

近代科学の歴史(物理、化学、生物・医学など)については、基礎知識を身に付けておくことが大切です。

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