技術士 過去問
令和5年度(2023年)
問30 (基礎科目「環境・エネルギー・技術に関するもの」 問6)
問題文
こうした関係についての次の記述のうち、不適切なものはどれか。
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問題
技術士 第一次試験 令和5年度(2023年) 問30(基礎科目「環境・エネルギー・技術に関するもの」 問6) (訂正依頼・報告はこちら)
こうした関係についての次の記述のうち、不適切なものはどれか。
- 望遠鏡が発明されたのちに土星の環が確認された。
- 量子力学が誕生したのちにトランジスターが発明された。
- 電磁波の存在が確認されたのちにレーダーが開発された。
- 原子核分裂が発見されたのちに原子力発電の利用が始まった。
- ウイルスが発見されたのちにワクチン接種が始まった。
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この過去問の解説 (3件)
01
科学史に関する出題です。仮に暗記していなくとも広範な科学知識と感覚から導き出すことを求められています。
望遠鏡が発明されたのちに土星の環が確認された。
正しい記述です。ガリレオが望遠鏡を使って土星の環を確認しました。
量子力学が誕生したのちにトランジスターが発明された。
正しい記述です。トランジスタは1947年にベル研究所で発明されました。量子力学はたとえばアインシュタインが光電効果を説明した奇跡の年1905年に代表されるように20世紀初頭に構築されました。
電磁波の存在が確認されたのちにレーダーが開発された。
正しい記述です。1856年にスコットランド生まれのマクスウェルが電磁波が存在することを理論的に導き、1887年、ドイツの物理学者であるハインリヒ・ヘルツが実験的に証明しました。その後、1940年にはイギリスで実用的なレーダーシステムが発明されました。
原子核分裂が発見されたのちに原子力発電の利用が始まった。
正しい記述です。核分裂はドイツの化学者オットー・ハーンとオーストリア出身の女性物理学者リーゼ・マイトナーが1938年に発見しました。その後フェルミ指揮による原子核分裂の連鎖反応証明の実験の成功、原子力爆弾の開発があって世界最初の原子力エネルギーを使った発電は1951年にアメリカで行われました。
ウイルスが発見されたのちにワクチン接種が始まった。
誤った記述です。世界最初のワクチンは1790年天然痘でつくられました。ジェンナーは牛痘にかかった人が天然痘に罹患していないことを発見し、天然痘のワクチンを作り上げました。一方ウイルスが初めて発見されたのは1898年、牛の口蹄疫とタバコモザイク病の2つです。ウイルスは電子顕微鏡を使わないとみることができないため、細菌よりも発見が遅れています。
理屈から応用ができたのか、偶然の発見からその後理論ができたのか、実験難易度を想像しながら考えるとよいでしょう。
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02
これは基本的な科学の歴史を知っていれば、比較的に簡単です。
不適切なものですので、「ウイルスが発見されたのちにワクチン接種が始まった。」というのは間違いと気づきます。ウイルス発見は、ワクチン接種開始よりかなり後です。
本選択肢が正解です。
近代科学の歴史(物理、化学、生物・医学など)については、基礎知識を身に付けておくことが大切です。
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03
科学と技術の因果関係を考える→出来事の年代をざっくり把握する→ワクチン接種とウイルス発見の順番に注意する→消去法で確かめる
この流れで考えると、スムーズに正解を導き出せます。
適切です。
望遠鏡は1608年頃に発明され、1610年にガリレオ・ガリレイが土星の環を観測しました。
適切です。
量子力学は20世紀初頭に発展し、1947年にトランジスターが発明されました。
適切です。
19世紀にマクスウェルが電磁波の存在を理論的に予測し、1930年代以降にレーダーが開発されました。
適切です。
1938年に原子核分裂が発見され、1950年代には原子力発電が実用化されました。
不適切です。
ワクチン接種はウイルスの発見よりも約100年も前に行われていました。
ワクチン接種の始まり
天然痘ワクチン(種痘)は1796年 にエドワード・ジェンナーによって開発されました。
この時代、ウイルスの存在はまだ知られていませんでした。
ウイルスの発見
1892年にドミトリー・イワノフスキー が、タバコモザイクウイルスの研究を通じて、細菌よりも小さな病原体が存在することを示しました。
その後、ウイルスの概念が確立されました。
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