宅地建物取引士の過去問
平成27年度(2015年)
権利関係 問10

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問題

宅建試験 平成27年度(2015年) 権利関係 問10 (訂正依頼・報告はこちら)

遺言及び遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
※ 令和元年7月1日の民法改正により「遺留分減殺請求権」は無くなり、「遺留分侵害額請求権」に変更されました。(参考:民法第千四十六条)
本設問は平成27年度に出題されたものです。
  • 自筆証書の内容を遺言者が一部削除する場合、遺言者が変更する箇所に二重線を引いて、その箇所に押印するだけで、一部削除の効力が生ずる。
  • 自筆証書による遺言をする場合、遺言書の本文の自署名下に押印がなければ、自署と離れた箇所に押印があっても、押印の要件として有効となることはない。
  • 遺言執行者が管理する相続財産を相続人が無断で処分した場合、当該処分行為は、遺言執行者に対する関係で無効となるが、第三者に対する関係では無効とならない。
  • 被相続人がした贈与が遺留分減殺請求により全部失効した場合、受贈者が贈与に基づいて目的物の占有を平穏かつ公然に20年間継続したとしても、その目的物を時効取得することはできない。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.誤り
自筆証書遺言の訂正については、民法968条2項において詳しく定められています。その内容は、「訂正する箇所を示し、訂正の旨を付記した上、その訂正箇所に押印しなければならない」というものです。押印するだけでは訂正の効力を生じません。

2.誤り
本肢の示すような規定は存在しません。民法968条1項において、自筆証書遺言は、遺言者がその全文・日付・氏名を自書し、押印することが定められています。

3.誤り
遺言執行者が指定されているにも関わらず、相続人が無断で相続財産を処分した場合には、遺言執行者に対する関係のみならず、第三者に対する関係でも無効となります。

4.正しい
遺留分減殺請求が行使され、被相続人の贈与が失効した場合には、その失効した贈与をもとに目的物を時効取得することは認められない、とする判例があります。したがって、本肢の記述は正しいといえます。

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02

正解は【4】になります。

1:民法第968条では自筆証書遺言について述べており、
その2項では、自筆証書中の加除、その他の変更は、
遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、
かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じないことになっています。

2:最高裁の判例には、書簡で作成したために、遺言書の自署に押印をしなかったものの、これを入れた封筒の封じ目に押印したものは、自筆証書遺言の押印の要件になるというものもあります。
規定では定めてはいませんが、選択肢のような自署と離れた箇所に押印があっても、押印の要件として有効となる場合はあります。

3:判例では、遺言執行者がある場合には、遺言者の意思を尊重すべきものとし、
遺言執行者をして遺言の公正な実現を図らせる目的に出たものとあり、
相続人が民法の第1013条に違反して、遺贈の目的で譲渡や抵当権を設定して登記をしても、相続人の行為は無効であり、
受遺者は遺贈による目的不動産の所有権取得を登記なくして処分行為に対し抵抗することができることになっています。

4:判例では、遺留分権者の減殺請求権に対し、消滅時効にかからない限り、受贈者が贈与に基づいて目的物時効取得をすることはできないこととなっています。
ですので、この選択肢が正しい選択肢になります。

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03

肢1と肢2の内容はそのまま覚えてしまえば、得点につながります。

肢4の遺留分減殺請求について、細かな知識を知っていないと解けない問題が出題されることがあります。

遺留分減殺請求の行使期間は知った時から1年、相続開始時から10年で消滅し、行使方法は訴えによらなくても可能であるということだけでも、ここでおさえておきましょう。

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