宅地建物取引士の過去問
令和2年度12月実施分(2020年)
法令制限 問20

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問題

宅建試験 令和2年度12月実施分(2020年) 法令制限 問20 (訂正依頼・報告はこちら)

土地区画整理法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 市町村が施行する土地区画整理事業の施行後の宅地の価額の総額が土地区画整理事業の施行前の宅地の価額の総額より減少した場合においては、その差額に相当する金額を、従前の宅地に存する建築物について賃借権を有する者に対して支払わなければならない。
  • 施行者は、仮換地を指定した時に、清算金を徴収し、又は交付しなければならない。
  • 換地計画において換地を定める場合においては、換地及び従前の宅地の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等が照応するように定めなければならない。
  • 土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業の換地計画においては、災害を防止し、及び衛生の向上を図るために宅地の地積の規模を適正にする特別な必要があると認められる場合は、その換地計画に係る区域内の地積が小である宅地について、過小宅地とならないように換地を定めることができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は3です。

今回は土地区画整理法に関する問題です。

地区画整理法とは「都市計画区域内の土地について公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るために行われる、土地の区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更に関する事業」のことです。

区画整理前の土地を従前地、区画整理後の土地を換地と言います。

換地計画とは、事業施行地区内の土地や土地に関する権利が、事業施行後にどのような姿となるかを定める計画のことです。

換地計画において換地を定める場合においては、換地及び従前の宅地の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等が照応するように定める必要があります。

1 誤り

公的施行による土地区画整理事業が行われると、その施行の前後で総額が変わることがあります。

土地区画整理事業の施行後に宅地の総額が減少した場合、この差額分が減価補償金として交付されます。

減価保証金とはその字のごとく、減少してしまった宅地の総額を保証するお金です。
減価補償金の交付先は、以下の2パターンがあります。

①従前の宅地の所有者

②宅地に関して使用収益権を有する者(賃借権者など)

本選択肢では「従前の宅地に存する建築物について賃借権を有する者」が交付を受ける権利があると言っています。

しかし、宅地上の建物を賃借している者は対象外です。

借地権を有する者ならば対象となります。

2誤り

清算金とは区画整理前後の土地をそれぞれ評価し、整理前後に生じた権利の過不足を清算するためのお金のことです。

この清算金の徴収や交付に関わる通知は、換地処分の公告日の翌日に確定します。

この選択肢では「施行者は、仮換地を指定した時」と言っているので誤りです。

4誤り

土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業の換地計画においては、「災害を防止し、及び衛生の向上を図るために宅地の地積の規模を適正にする特別な必要があると認められる場合は、その換地計画に係る区域内の地積が小である宅地について、過小宅地とならないように換地を定めること」を宅地地積の適正化と言います。

宅地地積の適正化ができるのは、公的施行による土地区画整理事業のみです。

本肢は「土地区画整理組合」が施行したものなので、誤りです。

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02

正解は3です。

換地の際は、従前の宅地と換地が照応するように換地計画を定めなくてはならないという原則(土地区画整理法89条1項、換地照応の原則)より、この選択肢は正しいです。

換地によって、従前の宅地に居住する人たちは換地への移転をせまられるわけですから、これによる不利益を極力生じさせないようにするためにも、この原則が求められます。

それでも、調整ができない場合は最終的に清算金によって解決が図られます(土地区画整理法94条)。

1:「土地区画整理事業の施行により、土地区画整理事業の施行後の宅地の価額の総額が土地区画整理事業の施行前の宅地の価額の総額より減少した場合においては、その差額に相当する金額を、」滅価補償金として宅地に権利(所有権、地上権、賃借権等、土地の使用収益をする権利)を有する者に支払わなくてはなりません(土地区画整理法109条1項)。

選択肢は、建築物を問題としている点で誤りです。

宅地の価格の減少が問題となっているのに、宅地の権利者ではなく建築物の権利者を対象としている点で不自然だと気づければこの選択肢は容易に排除できるでしょう。

2:清算金の交付は仮換地の指定ではなく換地処分の公告があったときですので(土地区画整理法110条1項、103条4項)、この選択肢は誤りです。

一応、仮清算という制度もありますが(土地区画整理法102条1項)、これをしなくとも換地処分の段階で清算される以上、必ずしも仮清算をやる必要もないため、仮清算の実施は任意です。

4:選択肢3で述べた換地照応の原則の例外として、公的機関(国や地方公共団体、地方住宅供給公社、都市再生機構など)が施工する土地区画整理事業の場合で、「災害を防止し、及び衛生の向上を図るため宅地の地積の規模を適正にする特別な必要があると認められる場合においては、その換地計画に係る区域内の地積が小である宅地について、過小宅地とならないように換地を定めることができる」とされています(土地区画整理法91条1項)。

選択肢4は、公的機関ではなく、土地区画整理組合としている点で誤りです。

選択肢4はやや難しい選択肢ですが、換地照応の原則さえわかっていれば選択肢3が正しいことはわかるはずですので、落としたくない問題です。

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03

【問3.〇】

換地計画において換地を定める場合は、換地及び従前の宅地の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等が照応するよう定めなければなりません(土地区画整理法89条1項)

換地を定める場合、換地と従前の宅地の条件が可能な限り

同一になるように定めなければなりません。

条文通りですので正しいです。

1.×

地方公共団体等が行う公的な土地区画整理事業の施行後、

宅地の総額が従前の宅地(土地区画整理事業の施行前の宅地)の総額より減少した場合、

施行者はその差額を減価補償金として交付しなければなりません。

減価補償金の交付対象となる者は以下です。

従前の宅地の所有者

・その宅地について地上権・永小作権・賃借権その他の宅地を使用し

又は収益することができる権利を有する者

(土地区画整理法109条)

宅地上の建物について賃借権を有する者は

対象ではありません。

2.×

清算金換地処分の公告があった日の翌日に確定します。

仮換地の指定時にも仮清算金が交付されることもあります。

しかしこれは必要があると認められるときに行われるので

設問では「交付しなければならない」としているので、誤りです。

4.×

土地区画整理事業の換地計画において災害の防止及び衛生の向上を

図るため宅地の地積の規模を適正にする特別な必要がある場合、

地積が小さい宅地につき過小宅地とならないように換地を定めることができます。

上記が定められるのは公的施行による土地区画整理事業

(地方公共団体、国土交通大臣、独立行政法人)

(土地区画整理法91条1項)

設問は土地区画整理組合が施行しているので誤りです。

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