宅地建物取引士の過去問
令和2年度12月実施分(2020年)
宅建業法 問39
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問題
宅建試験 令和2年度12月実施分(2020年) 宅建業法 問39 (訂正依頼・報告はこちら)
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で締結した宅地の売買契約について、Bが宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき、いわゆるクーリング・オフによる契約の解除をする場合における次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、2日後、Aの事務所で契約を締結した上で代金全額を支払った。その5日後、Bが、宅地の引渡しを受ける前に当該契約について解除の書面を送付した場合、Aは代金全額が支払われていることを理由に契約の解除を拒むことができる。
- Bは、自らの希望により自宅近くの喫茶店において買受けの申込みをし、売買契約を締結した。当該契約に係るクーリング・オフについては、その3日後にAから書面で告げられた場合、Bは、当該契約の締結日から10日後であっても契約の解除をすることができる。
- Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、Aの事務所でクーリング・オフについて書面で告げられ、その日に契約を締結した。この書面の中で、クーリング・オフによる契約の解除ができる期間を14日間としていた場合、Bは、当該契約の締結日から10日後であっても契約の解除をすることができる。
- Bは、売買契約締結後に速やかに建物建築工事請負契約を締結したいと考え、自ら指定した宅地建物取引業者であるハウスメーカー(Aから当該宅地の売却について代理又は媒介の依頼は受けていない。)の事務所で買受けの申込み及び売買契約の締結をし、その際、クーリング・オフについて書面で告げられた。その6日後、Bが当該契約について解除の書面を送付した場合、Aは契約の解除を拒むことができない。
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は1です。
選択肢1はクーリングオフができる場面なので、契約の解除を拒むことができるとしている点で誤りです。
プロ(宅建業者)同士の取引ならばともかく、取引の素人が取引を行う場合、相手の話に流されて冷静な判断ができないまま契約書にサインしてしまうことがありえます。
そこで、買主が、流されるままに契約を申し込んだけど、後になって冷静(クーリング)になってみたら、契約すべきでなかったという場合に解除を認めるのが、クーリングオフ制度です。
以上の制度の趣旨から、場所と期間について重要なルールが定められていますので、それぞれのルールについて見ていきましょう。
まず、場所について、(買主が契約に関与した時点である)申込時の場所が、①事務所、②宅建士を設置すべき土地に定着した場所等、③買主の自宅または勤務先で、買主が招いた場合には、買主が自発的に相手の場所へ赴いたり、宅建業者を招いたりと行動を起こしている以上、宅建業者の話に流されるおそれは低いといえ、クーリングオフの対象外です(宅建業法37条の2第1項柱書、契約締結時の場所ではなく、申込時の場所を基準にするので、注意)。
そして、クーリングオフの制度趣旨から、買主が冷静になって、契約を解除するか否か判断するのに十分な期間を保障すれば十分なので、宅建業者が書面でクーリングオフ制度について告知してから8日間(宅建業法37条の2第1項一号)または、買主が宅地または建物の引渡しを受け、かつ、代金の全額を支払った場合(宅建業法37条の2第1項二号)のどちらかが経過した場合は、もう解除はできません。
選択肢1では、Aがクーリングオフ制度について書面で告知した記述がないため、日数に特に意味はなく、Bの支払いは済んでいるものの未だ宅地の引渡しを受けていないため、上述の期間のルールにはひっかかりません。
また、Bが申し込みをしたのは仮設テント張りの案内所ですから、Aの事務所でもなければ、土地に定着した場所でもありませんので、場所のルールにも引っかかりません。
よって、選択肢1はクーリングオフのできる場合なので、誤りとなるのです。
2:喫茶店で申込と契約締結を行っているので、場所のルールに引っかかりません。
また、契約締結の3日後にクーリングオフについて告知を受け、契約締結の10日後に解除をしているということは、告知から8日目(この場合、告知を受けた日を1日目と数えます)には解除しているため、期間のルールにも引っかかりません。
よって、この選択肢は正しいです。
3:特約で、法律に定められたクーリングオフ制度よりも有利な定めを設けることはできます(宅建業法37条の2第4項が不利な定めは無効とすることの反対解釈)。
本件は、有利な定めを設けている場面なので、正しいです。
4:宅建業者であるハウスメーカーの事務所が出てくるので紛らわしいのですが、選択肢4ではAの売る宅地の売買契約が解除できるかどうかが問題となっているので、ここで問題になる事務所はAの事務所です。
よって、ハウスメーカーの事務所は、上述の場所のルールに出てくる事務所に当たらず、解除は可能となります。
よって、選択肢4は正しいです。
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02
【問1.×】
まず仮設テント張りの案内所での買い受けの申し込みはクーリングオフの適用が受けられます。
そして代金の全額を支払った後、ではありますが、宅地の引き渡しは受けていません。
クーリングオフについて書面で告げられた日については
問題文に記載されていませんが買い受け申込の日に告げられていた場合でも
買い受け申込の日から8日以内に解除の書面を送付していますので、
買主はクーリングオフによる契約の解除が可能です。
2.〇
自らの希望により指定した喫茶店はクーリングオフの適用がある場所です。
Aから書面でクーリングオフについて告げられた日から起算して8日以内、に
あたるので、この場合クーリングオフによる契約解除が可能です。
3.〇
クーリングオフの適用があるかどうかは、
買い受けの申し込みをした場所で判断されます。
BはAの仮設テント張りの案内所で申込をしているので
クーリングオフの適用が受けられます。
そしてクーリングオフによる契約の解除期間ですが、
期間を8日以下に短くすることは買主に不利になりますので
定めることはできませんが、期間を8日以上長くすること、については
買主にとっても有利な定めに当たりますので
14日間と定めることも可能です。
よってBは契約締結日から10日後であれば
契約の解除が可能です。
4.〇
わかりづらい問題ですが、簡単に考えると
Bが指定した宅地建物取引業者であるハウスメーカーは
Aから当該宅地についての売却の代理、媒介の依頼は受けていません。
よって「事務所」にはあたりませんので、
クーリングオフの適用を受けることが可能です。
※Bが指定した宅地建物取引業者であるハウスメーカーが
Aから代理、媒介の依頼を受けている場合は「事務所」にあたるので
クーリングオフの適用を受けることはできません。
そしてクーリングオフについて書面で告げられた日から
6日後に解除の書面を送付していますので、
Aはクーリングオフによる契約の解除を拒むことはできません。
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03
正解は1です。
クーリング・オフとは一定の条件を満たした契約に限り、一定期間、無条件で申し込みの撤回または契約を解除できるというものです。
以下の条件に1つでも該当すれば、クーリング・オフできません。
どれにも該当しなければ、クーリング・オフすることができます。
①宅地建物取引業者の事務所等で買受けの申込み、または売買契約(事務所等以外の場所で買受けの申込みをした場合を除く)した場合
②書面でクーリング・オフについて告げられた日から起算して8日経過した場合
③物件の引渡しを受け、かつ代金全額を支払っている場合
④買主が宅地建物取引業者である場合
今回の場合、買主Bは宅建取引業者ではないので④はすでにクリアしています。
選択肢1でBは、「Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込み、その2日後、Aの事務所で契約を締結した上で代金全額を支払い」ました。
それから5日後にBはクーリング・オフできるのか?という問題です。
Bがクーリング・オフを申し出たのは申し込みから起算して8日目です。
クーリング・オフを書面で告げられたのは最も速くても申し込みの日なので、まだ8日以内です。
全額支払っているので③の要件に引っかかってダメ、かと思えますがBはまだ物件を引き渡されていません。
全額払っても物件を引き渡されていなければまだクーリング・オフできます。
よってこの選択肢は誤りです。
2正しい
クーリング・オフができない条件①を見ると「宅地建物取引業者の事務所等で買受けの申込みをした場合」はクーリング・オフをすることができません。
本肢でBが買受の申し込みをしたのは喫茶店です。
事務所ではなく、そしてBが書面でクーリング・オフに告げられたのは契約から3日目。
契約締結から10日後は書面で告げられた日から8日目となるため、クーリング・オフは可能です。
3正しい
買受けの申し込み場所と売買締結の場所が違うパターンの問題です。
⓵で宅地建物取引業者の事務所等で買受けの申込み、または売買契約(事務所等以外の場所で買受けの申込みをした場合を除く)した場合、クーリング・オフはできないと説明しました。
しかし、売買契約が事務所であってもその前の買受の申し込みが事務所ではないため、クーリング・オフの対象となるのです。
ちなみにBは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをしていますが、これは土地に定着しない案内所であるクーリング・オフが適用となる場所です。
4正しい
本肢で買受の申し込み及び契約の締結を行ったのは、A(売主)から当該宅地の売却について代理又は媒介の依頼は受けていないハウスメーカーの事務所です。
このハウスメーカーがAから当該契約の媒介・代理を依頼されていればこの事務所はクーリング・オフの条件の「事務所等」に該当します
しかし、今回は依頼を受けていないため、事務所などには当たらず、クーリング・オフは可能となります。
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