調理師の過去問
平成23年度
食品学 問32

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問題

調理師試験 平成23年度 食品学 問32 (訂正依頼・報告はこちら)

食用油脂に関する記述について、誤っているものを一つ次の中から選びなさい。
  • やし油のケン化価は、なたね油のケン化価より高い。
  • ラード(豚脂)のヨウ素価は、大豆油のヨウ素価より高い。
  • オリーブ油には、オレイン酸が多く含まれる。
  • 硬化油を原料としたマーガリンには、トランス脂肪酸が含まれる。

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この過去問の解説 (4件)

01

正解は「ラード(豚脂)のヨウ素価は、大豆油のヨウ素価より高い。」です。

選択肢1. やし油のケン化価は、なたね油のケン化価より高い。

ケン化とは何かと覚えるよりは、

ケン化価が大きい - 短鎖脂肪酸

ケン化価が小さい - 長鎖脂肪酸

と覚えます。

やし油は、中鎖脂肪酸。なたね油は、長鎖脂肪酸です。なので、鎖が短い方が、ケン化価が高いということで、ケン化価は「なたね油<やし油」となり、この記述は○となります。

選択肢2. ラード(豚脂)のヨウ素価は、大豆油のヨウ素価より高い。

ヨウ素価とは何かと、覚えるよりは、

ヨウ素価が大きい - 不飽和脂肪酸

ヨウ素価が小さい - 飽和脂肪酸

と覚えます。

ラードは、飽和脂肪酸。大豆油は不飽和脂肪酸なので、ヨウ素価が大きいのは、大豆油になります。

選択肢3. オリーブ油には、オレイン酸が多く含まれる。

オリーブオイルには、オレイン酸が多く含まれています。

他のさまざまな油に比べ、圧倒的に多く含まれています。

選択肢4. 硬化油を原料としたマーガリンには、トランス脂肪酸が含まれる。

硬化油→マーガリン→トランス脂肪酸

この3つはセットで覚えておきましょう。

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02

正解は「ラード(豚脂)のヨウ素価は、大豆油のヨウ素価より高い。」です。

選択肢1. やし油のケン化価は、なたね油のケン化価より高い。

やし油のケン化価は248〜264、なたね油のケン化価は169〜193で、やし油がなたね油よりケン化価が高いです。

選択肢2. ラード(豚脂)のヨウ素価は、大豆油のヨウ素価より高い。

問題はこれが正解です。ヨウ素価は脂質100gが吸収するヨウ素量を示したものです。ヨウ素価が大きいほど食品は酸化されやすくなります。大豆油やコーン油などの植物油はヨウ素価が大きく酸化しやすく、ラード(豚脂)やヘット(牛脂)などの動物油はヨウ素価が小さいため酸化しづらいです。

選択肢3. オリーブ油には、オレイン酸が多く含まれる。

オリーブ油は、オレイン酸を多く含み、その含有量は約70%とされています。オレイン酸は一価不飽和脂肪酸であり、悪玉コレステロールを抑制する作用があります。

選択肢4. 硬化油を原料としたマーガリンには、トランス脂肪酸が含まれる。

硬化油とは液体の油に水素を添加することで、不飽和脂肪酸が飽和脂肪酸となり固形化したものです。硬化油はマーガリンやスプレッドなどで、これらの製造工程で、トランス脂肪酸が生成することがわかっています。

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03

 ヨウ素価とは「脂質100gが吸収することができるヨウ素の量」です。

 しかしこれでは意味が分からないと思います。図表を用いれば理解もしやすいのですが、以下文字で解説します。

 脂肪酸には二種類あります。

 「不飽和脂肪酸」と「飽和脂肪酸」です。

 ヨウ素は脂肪酸の骨子である炭素の二重結合の部分に結合することができます。ということはこの炭素の二重結合が多いほどヨウ素価が高いと言えます。

 「飽和脂肪酸」=二重結合がない=ヨウ素価が低い

 「不飽和脂肪酸」=二重結合がある=ヨウ素価が高い

 となります。

 飽和脂肪酸は動物性脂肪に含まれます。

 不飽和脂肪酸は魚類や植物性脂肪に含まれます。

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04

「ラード(豚脂)のヨウ素価は、大豆油のヨウ素価より高い。」

を選択するのが正解です。

選択肢1. やし油のケン化価は、なたね油のケン化価より高い。

× 問題文のとおり、やし油のほうが、なたね油よりもケン化価が高いので、解答には選択しません。

鹸化(ケン化)は、簡単に言うと「油にアルカリを混ぜて石けんを作ること」です。ケン化値は、油1gをケン化するのに必要な水酸化カリウムのmg数のことです。

脂肪酸の数が多い(短鎖脂肪酸)と、水酸化カリウムが多く必要になるので、ケン化値が高くなります。

脂肪酸の数が少ない(長鎖脂肪酸)と、必要になる水酸化カリウムが少なくて済むので、ケン化値が低くなります。

中鎖脂肪酸は、その中間です。

やし油は中鎖脂肪酸、なたね油は長鎖脂肪酸なので、やし油のほうがケン化値は高いです。

選択肢2. ラード(豚脂)のヨウ素価は、大豆油のヨウ素価より高い。

ヨウ素価は、簡単に言うと「不飽和脂肪酸が含まれる量の多さ」をあらわす指標です。

「ヨウ素価が大きいほど、不飽和脂肪酸が多く含まれる、酸化しやすい油脂」ということになります。

大豆油は、リノール酸やオレイン酸など不飽和脂肪酸が多く含まれます。

ラード(豚脂)は、どちらかというと飽和脂肪酸が多いので酸化しにくく、トンカツなどの揚げ油に好まれるのが特徴です。

大豆油よりヨウ素価が低いので誤りです。

選択肢3. オリーブ油には、オレイン酸が多く含まれる。

× 問題文のとおり、オリーブ油にはオレイン酸が多く含まれるので、解答には選択しません。

選択肢4. 硬化油を原料としたマーガリンには、トランス脂肪酸が含まれる。

× 問題文のとおり、硬化油を原料としたマーガリンには、トランス脂肪酸が含まれるので、解答には選択しません。

トランス脂肪酸を過剰摂取すると、生活習慣病のリスクが高まることが示唆されています。

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