調理師の過去問
平成26年度
栄養学 問25
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この過去問の解説 (4件)
01
(1)誤りです。たんぱく質の摂取を制限する必要はありません。以前は高たんぱく食が基本とされていましたが、現在は規則的なバランスがとれた食事を摂ることがすすめられています。
肝臓では、代謝や解毒、胆汁分泌を行う重要な臓器です。その代謝のはたらきの中では、食物のたんぱく質からできたアミノ酸を、体内で使用しやすいたんぱく質に変化させる処理をしています。肝臓の機能が低下すると、たんぱく質処置能力が低下するため、肝硬変や肝不全など病状が進行した場合では、低たんぱく質食を選択します。
(2)正解です。カリウムは細胞膜のポンプ作用によって体内の余分なナトリウムを排出することで、血圧を補正します。また、腎臓からのナトリウムの排出も促す作用もあります。カルシウムは不足すると血管壁を収縮させ、高血圧をひきおこします。
高血圧では、カリウム、カルシウムを十分に摂る必要があります。
(3)誤りです。腎臓はたんぱく質の老廃物である尿素や窒素を、血液中から除去して排泄するはたらきがあります。腎炎のように弱った腎臓の負担を減らすためには、その老廃物の元であるたんぱく質を少なくする必要があります。
また、たんぱく質を減らした分、カロリーが減るので、必要カロリーを糖質や脂質で補う必要があります。したがって、低たんぱく質・高カロリー食が必要です。
(4)誤りです。肉や魚卵などに多く含まれているプリン体は、体内で尿酸へと変化します。尿酸は尿によって排出されますが、体内の尿酸値が高いと、高尿酸血症(尿酸値が7.0mg/dl以上の状態)となります。これが続くことで尿酸が間接に蓄積していき、急性関節炎をおこします。この状態が痛風です。
尿量が多くなることで、尿中に排泄される尿酸が多くなるので、水分を十分に摂取することが必要です。
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02
「高血圧症食」では、塩分を一日6g未満に制限し、カリウム、カルシウムを十分にとります。
以下に主な食事療法の名前とポイントを列記します。
「糖尿病食」
一日の総エネルギーを決める。タンパク質、脂質、炭水化物をバランス良くとる。
「肥満食」
全体のエネルギー摂取量を抑える。脂質を特に制限する。
「肝臓病食」
・急性肝炎 症状に応じてタンパク質、ビタミン、炭水化物をバランスよくとる。
・慢性肝炎 刺激の強い食品、アルコール等を禁止する。
・肝硬変 浮腫、腹水のある場合、塩分を一日7g以下、水分制限をする。
「心臓病食」
塩分を一日6g未満に制限、水分の過剰摂取はしない。
低エネルギー食にして、食事の回数を4~5に分ける。
「腎臓病食」
タンパク質、水分、塩分、カリウムを病状に応じて制限する。
「胃腸病食」
消化の悪い脂質はさける。
「脂質異常症食」
コレステロールの多い動物性脂肪は控える。
「痛風食」
プリン体の多い食品を制限する。
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03
1.急性肝炎では、たんぱく質(× 脂質)の摂取を制限する。
急性肝炎では脂質を制限し、肝機能の回復のために良質なたんぱく質の割合を増やします。
2.高血圧では、カリウム、カルシウムを十分に摂る。(○)
高血圧では食塩の摂取を制限、脂質を控え、ビタミン、ミネラル、食物繊維が不足しないよう十分に摂ります。
3.腎炎では、高(× 低)たんぱく質食を摂取する。
腎炎では食塩、たんぱく質と病態により水分を制限し、炭水化物と脂質によってエネルギーを確保します。
4.痛風では、水分(× プリン体)の摂取を制限する。
痛風ではプリン体を多く含む食品を避け、脂質、炭水化物、アルコールを控えます。
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04
1つずつ解説します。
①急性肝炎
現在は普通食が一般的食事療法です。しかし、急性肝炎極期は吐き気や嘔吐、食欲不振が強いため、普通食にしても食べることが出来ません。そのため極期の症状が緩和するまでは、食べやすい粥やうどんなど糖質メインの「食欲がないときの食事」で経過を観察。点滴で不足するビタミンを補います。この時期が過ぎれば普通食から高タンパク・高ビタミン食に変更します。
・脂質が制限された時代もありましたが、現在では脂溶性ビタミンの吸収に必要なため、適性の脂質は摂取が必要とされています。
②高血圧
高血圧は塩分の制限とカリウム・カルシウムの積極的な摂取が良いとされています。
カリウムは細胞内のナトリウムを排出させたり、腎臓に溜まったナトリウムを尿へ排出させる働きがあります。
カルシウムは不足すると、血液内のカルシウムを上昇させるホルモンが分泌されます。このホルモンが血管を収縮させる作用があることで、血圧が上昇します。そのため、血液中のカルシウムが不足になることを防ぐために、常に食事から必要量のカルシウムを摂取する必要があります。
果物の積極的な摂取がカリウムを多く摂取する手段として有効です。しかし腎臓病合併では高カリウム血症を引き起こす危険性があること、肥満や糖尿病が原因での高血圧の場合は果糖の摂取により糖分・エネルギーの摂りすぎが問題となります。そのため高血圧の原因となっている病気次第で、食事療法は個別対応の必要があります。
③腎炎
タンパク質と塩分の摂取に制限がかかります。タンパク質の老廃物、余分なナトリウムを減らし腎臓を休ませることが目的です。しかし限られたタンパク質を有効活用するために、エネルギーは十分に必要となります。そのためにグルテンフリーの小麦製品や砂糖、脂質をうまく利用してエネルギーを確保します。
④痛風
痛風はプリン体の摂取を制限します。プリン体が肝臓に集められ尿酸へと変化するためです。肉類や魚卵、肝に多く含まれますが、乾燥大豆や干しシイタケ・納豆などにも多く含まれるので、注意が必要です。
痛風は体内に尿酸が溜まるために起こる病気です。尿酸は尿と共に体外へ排出させなければならないので、水分摂取は1日2ℓを目指します。ただしアルコールは利尿作用が強く、必要な水分まで排出してしまうため逆に尿酸値を引き上げます。
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