調理師の過去問
平成29年度
調理理論 問52
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問題
調理師試験 平成29年度 調理理論 問52 (訂正依頼・報告はこちら)
食塩の作用に関する記述について、正しいものを一つ選びなさい。
- 魚介類に食塩を加えると、塩に溶けるたんぱく質が溶出してぬめりが増す。
- 白菜に食塩を加えると、浸透圧の作用により野菜中の水分が出てしんなりする。
- いかの塩辛の食塩は、塩辛中の水分活性を上昇させることにより、微生物の生育がしにくくなる。
- 肉、卵などの加熱調理に食塩を加えると、たんぱく質の凝固を遅らせ、固まりにくくなる。
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この過去問の解説 (3件)
01
が正解です。
動物や植物の細胞から、塩分の多いほうへ水分が移動しようとする力を「浸透圧」といいます。
野菜に食塩を加えると、浸透圧によって野菜中の水分が食塩に引き出されます。
これがいわゆる、塩の「脱水作用」と呼ばれるもので、野菜をしんなりさせる時に使われます。
(1)× 「魚介類に食塩を加えるとたんぱく質が溶出する」という説明は正しいです。
ただ「ぬめり」が出るという点が不適切です。「弾力性」が出るのが正解です。
(3)× 「微生物の生育がしにくくなる。」という説明は正しいのですが、いかの塩辛中の水分活性を「上昇させる」という点が間違っています。
正しくは、水分活性を「抑制させる」です。
微生物は、自由水(成分と結合していない水分)で繁殖しやすく、結合水(食品の成分と結合している水分)で繁殖が抑制されます。
塩辛のように、食品中の水分が食塩と結合している食品では自由水が少なく、細菌の繁殖が生育しにくくなっています。
言い換えれば「食塩には食品に細菌が繁殖するのを防ぎ、腐敗や発酵を防ぐ作用がある。」ということです。
(4)× 塩には、たんぱく質の熱凝固を早める作用があります。
その性質を利用したのが、ゆで卵を作る時に食塩を入れる方法です。
もし殻にひびが入っても、速やかに白身を固め、中身が漏れ出るの防ぐことができます。
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02
浸透圧とは濃度を均一に保とうと、濃度の低いほうから高い方へ水分が移動することです。この作用で、水分が出てしんなりします。
1 . 魚介類に食塩を加えると、塩に溶けるたんぱく質が溶出してぬめりが増す、は誤りです。
ぬめりではなく弾力がでます。すりつぶした魚肉に塩を加えてこねることで、塩溶性たんぱく質が溶け出しアクトミオシンを形成します。このアクトミオシンの網目で魚肉の練り製品独特の弾力が生み出されます。
3 . いかの塩辛の食塩は、塩辛中の水分活性を上昇させることにより、微生物の生育がしにくくなる、は誤りです。
水分活性とは、食品中に含まれる水分の中で微生物が利用できる自由水の割合のことです。自由水が多い=水分活性が高い状態だと、微生物は生育しやすくなります。
4 . 肉、卵などの加熱調理に食塩を加えると、たんぱく質の凝固を遅らせ固まりにくくなる、は誤りです。
塩の働きの一つとして、タンパク質を固めるというものがあります。塩を加えた湯で卵を茹でると、殻にひびが入っても卵白がすぐに固まります。また、塩をふって肉を焼くと表面がすぐに固まり、肉汁が出にくくなります。
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03
選択肢の文中一部だけが誤っていることもあるので、しっかりと読むようにしましょう。
(2)○ 野菜に塩を振ると、浸透圧によって野菜の水分が出て、しんなりとします。
浸透圧とは、塩分の薄い方から、濃い方に水分が移動する力です。
浸透圧を利用すれば、漬物のように塩味をつける他、濃くなってしまった漬物を水につけることによって、塩抜きをすることもできます。
(3)× いかの塩辛の食塩は、塩辛中の「水分活性を低下させる」ことによって、微生物の生育がしにくくなっています。
(4)× 塩にはたんぱく質の凝固を早め、固まりやすくする性質があります。
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