調理師の過去問
令和5年度
食品衛生学 問15
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問題
調理師試験 令和5年度 食品衛生学 問15 (訂正依頼・報告はこちら)
消毒法に関する記述について、誤っているものを一つ選びなさい。
- 消毒法には、物理的消毒法と化学的消毒法の二つがある。
- 煮沸消毒は、100℃の湯の中で5分間以上煮る方法である。
- アルコールは、純アルコールの殺菌効果が最も強い。
- 逆性せっけんは、洗浄力は弱いが、殺菌力は非常に強い。
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この過去問の解説 (2件)
01
誤っているものを選択する問題なので
「アルコールは、純アルコールの殺菌効果が最も強い。」
が正解となります。
純アルコールは、ほかの物質を含まない純粋なアルコール(エタノール)、つまり薄めていないアルコール100%を指します。
アルコールの殺菌効果が最も高いのは100%ではなく、アルコール濃度60~95%とされています。(70%が最も高いともいわれてきました。)
そのため、「アルコールは、純アルコールの殺菌効果が最も強い。」という記述は正しくないということになるのです。
なお、過去の問題でも、
「消毒用エタノールは、薄めたものより100%のものの方が消毒力は強い。」
「純アルコールより、70 %溶液の方が殺菌力は強い。」
のように、言い回しを変えて繰り返し出題されています。
残りの選択肢3つも実務で必要になる知識であり、確実に覚えておきたいところです。
説明文のとおり、毒法には、物理的消毒法と化学的消毒法の二つがあります。
説明文のとおり、煮沸消毒とは100℃の湯の中で5分間以上煮る方法のことです。
こちらが正解です。
アルコールは、純アルコールではなく濃度60~95%の殺菌効果が最も強いといわれているので、説明文は正しくありません。
アルコールは濃度が高いほど早く揮発します。アルコール濃度が高過ぎると、細菌やウイルスを破壊する前に揮発してしまうので、消毒効果が発揮できません。
(アルコールにはたんぱく質を変質させる作用があります。細菌やウイルスの中には、表面にたんぱく質の膜(エンベローブ)を持つものがあるので、アルコールをかけるとエンベローブが破壊されて活性化できなくなってしまうのです。)
説明文のとおり、逆性せっけんは、洗浄力は弱いですが殺菌力は非常に強いです。
アルコールは濃度が高ければ高いほど殺菌効果が高そうに感じてしまいますが、100%では濃度が高過ぎて逆に殺菌効果が弱くなってしまいます。そのことと「純アルコール」の意味を把握していれば、迷わずに解ける問題かと思います。
ほかの3つの選択肢に出てくる消毒法も重要なので、正確に覚えておきたいです。
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02
正解は「逆性せっけんは、洗浄力は弱いが、殺菌力は非常に強い。」です。
不正解です。
消毒法には、物理的消毒法と化学的消毒法の二つがあります。
*物理的消毒法→高温や放射線などの物理的手段を用いて微生物を不活性化する方法。
*化学的消毒法→化学薬品(消毒剤)を使用して微生物を殺菌または不活性化する方法。
したがって、上記の選択肢は正しいので誤りです。
不正解です。
煮沸消毒は、食材や器具を100℃の湯の中で5分間以上煮る方法です。
この方法は物理的消毒法の一つであり、微生物を不活性化させる効果があります。
したがって、上記の選択肢は正しいので誤りです。
正解です。
アルコールの殺菌効果は、一般的に70%程度の濃度のアルコールが最も効果的です。
純アルコールの場合、水が含まれていないため、微生物の細胞膜を効果的に溶解できず、殺菌効果が低下します。
純アルコールよりも水が含まれたアルコールの方が、微生物に対する殺菌効果が高いと言えます。
したがって、上記の選択肢は誤りなので正解です。
不正解です。
逆性せっけんは、洗浄力に弱く、殺菌力に強いです。
逆性石鹸(陽イオン界面活性剤)は、「石鹸」と言われていますが洗浄力はほとんどありません。通常汚れを落とす石鹸や洗剤は、水に溶けると陽イオンとなりますが、逆性石鹸は水中で陽イオンになります。(一般的な石鹸の逆の性質なので“逆性”石鹸と読まれています。)
逆性石鹸は、プラスの電気を帯びているのでマイナスの電気を帯びているものを引き付けます。
細菌やカビを構成する要素がマイナスの電気を帯びているため、逆性石鹸はそれらに吸着します。
吸着することによって、細菌やカビのタンパク質やセルロースは変質し、その結果細胞の構造が破壊されます。
したがって、上記の選択肢は正しいので誤りです。
物理的消毒法と化学的消毒法の違いや、各消毒法の特徴を把握しておきましょう。
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